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2013 Fiscal Year Research-status Report

DAISYを応用したコミュニケーション障がい者にもわかりやすい展示解説技術の開発

Research Project

Project/Area Number 25350404
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionUniversity of Hyogo

Principal Investigator

三谷 雅純  兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (20202343)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords生涯学習施設 / 博物館・美術館 / コミュニケーション / 言葉 / 展示解説 / マルチメディアDAISY
Research Abstract

研究当初は、さまざまなコミュニケーション障がい者に関するこれまでの研究例を確認するために、文献研究として総説をまとめた(人と自然 24: 33-44 (2013) 「生涯学習施設は言葉やコミュニケーションに障がいを持つ人とどう向き合うべきか: 総説」。この文献研究により、これまで曖昧であった「コミュニケーション障がい者」を明確にすることができた。また開発技術に対する俯瞰的視点を確認した。また音声実験に使うマルチメディアDAISYの作成のためには、関西テレビCSR推進局の援助により、十分な訓練を受けた複数のアナウンサー(女性・男性)から、ボランティアとして音声の録音素材の提供を受けた。この肉声から人工合成音声(女性声・男性声)とともに音声実験の素材を作成し、コミュニケーション障がい者のリハビリテーション施設である「ことばの道」や、友の会組織の「むつみ会」、および兵庫県立人と自然の博物館において音声実験を行った。この音声実験では、コミュニケーション障がい者に限らず健聴者にも、女性肉声の録音素材がもっとも聞き取りやすく、人工合成音声は聞きにくいという結果が出た。現在、被験者の性や年齢、コミュニケーション障がい者では失語症など後遺症の違いによる聞きやすさの違いを分析中である。この研究の中間報告を兼ねた障がいのある来館者に対する接遇研修のようすは、ひとはくブログ「ユニバーサル・ミュージアムをめざして」の中で「人びとを迎えるために」1,2として発信した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

「コミュニケーション障がい」という、学問分野間で、あるいは社会的に曖昧に使われることの多かった言葉を定義するために文献研究を行った。これにより、乳幼児や言葉に不慣れな移民・帰国子女らとともに、知的障がい、自閉症、難聴・ろう、弱視・盲、子どもの失語症、おとなの失語症、認知症の人びとが対象となる事が確認できた。これらの障がい者と後遺症のある人びとでは、発達に遅れや退行が見られる場合と、コミュニケーション・モードに発話言語や墨字を用いない場合がある。これらの人への対応策は国際図書館連盟のレポートが参考になる。なかでもマルチメディアDAISYは多様な人びとに役立つ技術である。人間が行うボランテイアなどとともに、展示解説の工夫にはICTが重要である。
上記、総説の執筆と平行して、展示解説技術に関わる人工合成音声の聞きやすさ/聞きにくさを、ボランティア・アナウンサーの肉声と聞き比べてもらう実験を行った。被験者には20歳代から60歳代の健聴者29名と、コミュニケーション障がい者4名が参加した。この実験から、(1) 人工合成音声よりも人の肉声が聞きやすいこと。(2) 人の肉声である場合は男性よりも女性の声が聞きやすいこと。また、(3) リズムのとぼしい朗読よりも、リズムを込めた歌の方が理解が深く、さらに (4) 音と文章だけのDAISYよりも、絵の入ったマルチメディアDAISYの方が理解できていたことが類推できた。

Strategy for Future Research Activity

次の段階として、コミュニケーション障がい者にとって人工合成音声の聞き取りにくさどのような音響構造に表れるのかを特定しなければならない。そのために、平成25年度に行った実験結果を基にして人工合成音声の音響構造をデジタル技術で修正し、マルチメディアDAISY、あるいはそれに変わる新たな視聴覚材料を作成して、複数回の音声実験を行う。
実験では、健聴者とともにコミュニケーション障がい者の人数を増やして、統計学的にも十分なデータとしたい。ただ、あらゆる種別のコミュニケーション障がい者を対象にすることは現実的でない。そのため、本研究では知的障がい者、自閉症者、失語症者、認知症者を主な該当者として、幼児や児童、高齢者などを含む、広く生涯学習施設を利用する人びとにも聞きやすい人工合成音声の作成を目標としている。そのため、コミュニケーション障がい者だけに聞きやすい人工合成音声(例えば極端に大きなピッチの振れを持った歌声など)ではなく、健聴者にも自然に聞こえる人工合成音声の作成を目指す。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品費の内、主に複数購入予定であった音響/音声分析ソフトの購入が遅れた。旅費と謝金は、音声実験が予定通りは進められなかったためである。
次年度は音声実験の回数を上げるように調整中である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Remarks (4 results)

  • [Journal Article] 生涯学習施設は言葉やコミュニケーションに障がいを持つ人とどう向き合うべきか: 総説2013

    • Author(s)
      三谷雅純
    • Journal Title

      人と自然 Humans and Nature

      Volume: 24 Pages: 33-44

    • Peer Reviewed
  • [Remarks] 生涯学習施設は言葉やコミュニケーションに障がいを持つ人とどう向き合うべきか: 総説

    • URL

      http://www.hitohaku.jp/publication/r-bulletin/No24_04.pdf

  • [Remarks] ユニバーサル・ミュージアムをめざして47: 人びとを迎えるために-1

    • URL

      http://www.hitohaku.jp/blog/2014/02/post_1833/

  • [Remarks] ユニバーサル・ミュージアムをめざして48: 人びとを迎えるために-2

    • URL

      http://www.hitohaku.jp/blog/2014/02/post_1834/

  • [Remarks] ひとはくブログ:ユニバーサル・ミュージアム

    • URL

      http://www.hitohaku.jp/blog/cat181/

URL: 

Published: 2015-05-28  

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