2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study of the public nature of museums based on the admission fee problem
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25350406
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
瀧端 真理子 追手門学院大学, 心理学部, 教授 (70330165)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 博物館 / ミュージアム / 入館料 / アメリカ合衆国 / 無料 / 美術館 / 高齢者 / 優遇措置 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. アメリカ合衆国におけるミュージアム入館料に関する調査をまとめた。調査総数756館、公式HPから入館料及び各種優遇措置を抜き出し、入館料常時無料の館は152館(20.1%)との結果を得た。これらの基礎データと優遇措置を分類したまとめは「アメリカ合衆国の博物館入館料に関する調査」(1)~(4) として公開した。なお、2016年度はニューヨークと隣接地域125 館を調査し、入館無料の館は19.8%、寄附制の館は12.9%との結果を得た。公的社会保障制度にリンクする形での優遇制度はTitle I 学校にほぼ限定されるが、ニューヨーク市内の公立学校に対する優遇措置が目立った。また様々なハンディキャップを持つ人々への無料のアクセス・プログラムが充実している一方で、高額なプライベートツアー等が行われていることが分かった。 2. 日本の博物館が無料でない理由を下記2本の論文で明らかにした。 「日本の博物館はなぜ無料でないのか?―博物館法制定時までの議論を中心に―」では戦後の博物館法制定過程で、博物館・図書館ともに無料入館に対しては本来の利用者でないと考えられていた人々を排除することが意識されていたこと、日本では低所得者層に対して優遇策を設ける発想がなかったため、いまだに博物館を無料化する意味を認識できないこと等を論じた。また、「日本の動物園・水族館は博物館ではないのか?」では、日本動物園水族館協会が博物館法第23条の原則無料に反対した経緯を解明した。 3. 「図書館カードを用いたミュージアム無料制度の動向」を口頭発表し、公共図書館が地域のミュージアムと連携して無料入館パス(ミュージアムパス)を発行する仕組みとその課題について報告した。2016年度は「アメリカ合衆国におけるミュージアムと高齢者の互恵的関係」を口頭発表し、入館料調査を行う過程で気付いたアメリカのミュージアムと高齢者の関係を互恵的な側面に焦点を当てて論じた。
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