2015 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジア及びヒマラヤの小規模氷河湖分布地域における氷河災害の軽減に関する研究
Project/Area Number |
25350422
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奈良間 千之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50462205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 菜穂 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (10450264)
浮田 甚郎 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80272459)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 氷河湖決壊洪水 / 永久凍土 / ワークショップ / アウトリーチ / 天山山脈 / ALOS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,2015年7月にインド・ラダーク地方のラダーク山脈,2015年8月にキルギス共和国の天山山脈北部地域において,現地調査を実施した.氷河湖周辺の環境条件を調べるため,キルギス山脈の氷河前面に地温計と気温計を設置して長期観測したところ,年平均気温が-4.62℃,年平均地表面温度が-1.47℃であり,寒冷な環境であることがわかった.さらに,多時期に撮影された日本陸域観測技術衛星ALOS/PALSARとALOS-2/PALSAR-2のマイクロ波画像を用いて,地表面変動を検出する差分干渉SAR解析を48ペアで実施したところ,キルギス山脈全体で氷河前面の埋没氷を含む450のデブリ地形の変動が確認された.これは,氷河湖周辺のデブリ地形が永久凍土を含み,それが流動していることを示している.実際に現地でその流動を高精度GPSで観測したところ,年間70㎝の水平流動が確認された.この地形を指標として推定されたキルギス山脈の不連続山岳永久凍土の下限高度は,北側で2800m,南側で3200mであった.この結果から,現存する氷河湖は,不連続永久凍土帯の寒冷環境下で発達することがわかった. 本プロジェクトの柱の一つである災害軽減を目的に実施したアウトリーチ活動では,住民の氷河湖災害の知識向上のため,ラダーク地方では,LEDeG環境NGOとレー地区防災部署の協力を得て,ギャ村(2015年7月12日;140名参加)と,キルギス共和国では,キルギス緊急対策省と中央アジア応用地球科学研究所の協力を得て,ジェルウイ村(2015年8月14日;80名)で氷河湖ワークショップを開催した.ワークショップでは,これまでの現地調査をまとめたキルギス語と英語の氷河湖本をそれぞれの地域で80部印刷して配布した.また,2014年のランドサットデータで作成した二つの地域の氷河湖台帳を作成・印刷し,関係機関に配布した.
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Research Products
(8 results)