2014 Fiscal Year Research-status Report
地殻変動の様式変化による山地河川発達への影響:室内モデル実験と力学的理解
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25350424
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
遠藤 徳孝 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (60314358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 香子 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 准教授 (00378548)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | モデル実験 / 岩盤河川 / 傾動隆起 |
Outline of Annual Research Achievements |
傾動地帯におけるbedrock riverを想定した室内モデル実験を行った。流域面積の時間発展は、 急激な増加とその後の緩やかな増加の2段階を経た。これは 先行研究の流路パターンが第1世代と第2世代の2段階で発達するという定性的な観察事実との関連が考えられる。同一流域内においては、時間に伴って増加する流域面積は各時点での本流長のべき関数で近似できる関係にあった。また、降雨量の大小が、流域の概形に影響を与える可能性を示唆する結果も得られた。加えて、本研究では流路の縦断形についても時間を追って調べたところ、傾動(隆起)を伴わない場合には、下刻が急速に進んだ後一旦停止し、再び再開するという2段階の時間発展がみられた。一度目の下刻は谷頭浸食が終わった時に抑制され、二度目の下刻は支流の成長による流量増加から起こったと考えられる。下刻が再開するタイミングで本流と支流の河床勾配の差によって合流部の下刻が進み、遷急点が発生した。一定速度で傾動する場合は、下刻の2段階進展は明瞭でなかった。また、安定した縦断形の勾配は初期傾斜に因らないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の部分隆起の実験では、隆起する場所の内部もしくは周辺を流れる流路に着目した。計測はレーザーにより定量的に行ったが、地形発展に対する解析は定性的なものにとどまった。それに対し、2年目(26年度)の実験では、異なる隆起速度で流域全体が隆起する傾動を再現することができるよう装置を改良した。また、GISソフトウェア(QGIS)を導入し、前年度(25年度)と比較して定量的な解析が行えるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験条件を増やすとともに、同一条件での再現性のチェックを行う。実験の性質上、同一条件であっても、発生する地形はその都度異なるものになるが、地形解析を行うことで類似性を議論する。従来フィールド研究から提案されている経験則と比較する。また、実験で得られたデータを基礎として、数値シミュレーションに取り込むべき素過程を吟味する。
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Causes of Carryover |
1年目の部分隆起の実験の経験から、複雑な差異隆起(differential uplift)を複数のシリンダーで実現するのは多少難易度が高く準備に時間もかかると判断した。そのため、一応差異隆起である傾動の実験を優先して進めることにした。これにより、実験装置の改良にかかる費用が当初の予定より少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験地形の測定には、水平位置が正確に決められるように、点光原のレーザー変位計を用い、それを2軸で動かしてスキャンしているが、測定には時間がかかる。1回の試行中に何度も測定を行う必要があるため、結果的に1試行に費やす実験時間が長くなり、多くの試行を行うのが難しい。異なる条件や同一条件の再現性のチェックを行うために実験回数をこなす必要があるが、そのために測定時間の短縮化ができるよう改良を行う。
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Research Products
(2 results)