2014 Fiscal Year Research-status Report
活断層によらない島弧地殻の変形様式の解明 ー歪速度パラドックスの解消にむけてー
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25350427
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松多 信尚 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40578697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷺谷 威 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50362299)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 台東縦谷断層 / レーザースキャナー / 神城断層 / 水準測量 |
Outline of Annual Research Achievements |
8月の中旬に、台湾東海岸の台東縦谷断層のクリープ運動に伴う地殻変動と変動地形的な地殻変動とを精度良く分離するために、リーグル社の地上設置型のレーザースキャナーを用いて、東竹地域の精密測量を行った。この地域では先行谷化している小河川の段丘が存在しており、変動地形が計測できる一方で、コンクリートで覆われた河川の土手が逆断層のクリープ断層によって短縮変形して破壊されている。そこで本年度は高精度な段丘面の計測と、2年後に比較することを想定したクリープ断層付近の地形計測を実施した。 また、糸魚川静岡構造線活断層系北部で11月22日に発生した長野県神城断層地震を受けて、詳細な地震断層マッピングを実施し、地震による短縮量を見積もることを試みた。この地震の震源エリアは鷺谷が従来からGPS観測を続けており、1km程度の狭いエリアで大きな短縮が算出していた地域である。一方、松多が変動地形学的な垂直成分の変形量と断層の形状から大きな短縮レートを算出していた地域でもある。両者の値は桁違いの違いは無く、浅部まで定常クリープをしている可能性も考えられていた。したがって、今回の地震を受けて地震による短縮量、GPSによって観測されていた地殻変動量、長期の変位速度、この断層の活動履歴との関係を明らかにすることで断層近傍の変形サイクルが明らかに出来ることが期待される。本年度は地震後2週間で雪が積もってしまったため、簡易の地上踏査と重要地点のレーザースキャナーによる地表計測のみを実施した。その結果、地震断層を挟んだ数十メートル程度の長波長の変形も捉えることでき、より精度のよい変動地形を計測することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地震断層が出現したことにより、研究対象のウェートが若干変化するが、内容的には順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は下記5断層の重点的調査を続けていく予定である。 ①神城断層:今回の地震断層の出現を受けて、空中写真測量などの神城断層の高密度地形計測を見直し、浅部地下構造探査を行うことで短縮レートを算出する。水準測量を実施し、地震前後の高精度の変位量を見積もる。②阿寺断層:地形計測と高密度変位量分布のデータを整理する。③根尾谷断層:DEMを用いた高密度変位量分布を作成する。④跡津川断層:野外調査を継続し、高密度変位量分布の作成を続ける。⑤台東縦谷断層:クリープ運動の計測を継続すると共に、最終年度にレーザースキャナーによる測量を再測することでその差分から測地学的な変形と長期にわたって累積された変形の比較を行う。
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Causes of Carryover |
神城断層の調査が発生したため、根尾谷断層や阿寺断層に使用される予定だった分が翌年度以降に持ち越しになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
神城断層の調査に力点がやや移行するため、神城断層の反射法地震探査やボーリング調査、DEMの実体視画像への加工に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)