2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25350433
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
菅原 広史 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 准教授 (60531788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 岳彦 帝京大学, 文学部, 教授 (10114662)
成田 健一 日本工業大学, 工学部, 教授 (20189210)
萩原 信介 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, その他 (30000144)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 冷気にじみだし / 都市緑地 / 温暖化 / ヒートアイランド / 熱帯夜 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市内の緑地による都市温暖化への緩和効果を明らかにするため,国立科学博物館自然教育園(東京都目黒区)において気象観測を行った.熱帯夜が問題となる夏季には,特に自然教育園の緑地から周辺市街地へ流出する冷気の温度,流速と流出方向に注目した計測を,計10地点において行った.また,通年観測も合わせて行い,気温分布,植物活性の度合いや,植生による二酸化炭素吸収についても計測を行った. 現地観測の過程により,緑地内で生成され市街地へ流出する冷気は,比較的細かな地形(2 m程度の標高差)によりその風向・風速が影響を受けることが明らかとなった.このため,周囲を代表するような地形上に観測地点を設け,冷気流出の観測を行った.夏季において冷気の流出はおよそ夜間ごろから出現し夜明け前まで継続した.最も出現頻度が大きかったのは夜明け前であり,これは既往研究で見られていた特徴とは異なっていた.緑地内に蓄積する冷気の厚さはおよそ樹高と同じ10mであることが明らかとなった.ただし,冷気蓄積は夏季から冬季へと季節が進行するに従い不明瞭となっていた. 通年観測により,緑地と市街地との気温差が季節変化することが明らかとなった.この季節変化は緑地での落葉・展葉とタイミングがそろっており,着葉状態の変化が主な原因であると考えられる.冬季には,夏季とは逆の気温分布(市街地の方が低温)が出現することも明らかとなった. 平成27年度は過去2夏季に行ってきた冷気流出の集中観測に加えて,冬季にも市街地への流出流が存在するかどうかを観測により検討した.市街地との温度差は夏季よりも小さいが,流出流の発生頻度は冬季の方が高いことが明らかとなった.この市街地への流出気流により,緑地内から市街地へ二酸化炭素が輸送されていることが明らかとなった.
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