2013 Fiscal Year Research-status Report
品質指向ソフトウェアマネジメントの定着化と定量的プロジェクト評価法に関する研究
Project/Area Number |
25350445
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山田 茂 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50166708)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 品質管理システム / ソフトウェア信頼性工学 / ソフトウエア開発効率化・ 安定化 |
Research Abstract |
本研究初年度は,プロセスとプロダクトの品質に影響を及ぼすV&V 視点からみた要因分析を行い,QCD に関してプロジェクトが成功するような全体状況を把握できる(可視化できる)仕組みについて議論した.具体的には,以下の通り研究を進めた.(1) これまでの品質指向ソフトウェアマネジメントの実践強化の研究において,開発の上流工程での有意なプロセス品質要因として導出された品質保証要因およびマネジメント要因が,プロダクト品質要因としての信頼性に及ぼす影響度合いを考察した.特に,プロジェクトマネジメントを強化している実際プロジェクトを対象とした.同時に, 開発早期段階においてプロセス品質要因と,最終製品品質をはじめとするプロジェクト評価尺度QCD とを関係づけるソフトウェアマネジメントモデルを,これまでの研究により改良された手順に従って導出した.(2) (1)を踏まえて,V&V が効果的に開発プロセスにおいて実施できる品質保証システムを検討する.このとき,プロダクト品質に直結する開発上の課題やフォールト数に関して,(i) 課題の発生あるいはフォールトの潜入した工程の分析,(ii)設計とコーディング工程での課題やフォールトの作り込み原因の分析,(iii)レビューとテスト工程での課題やフォールトの見逃し原因の分析,といった3つの分析を,実測データを使って行った.これらの研究成果を基に,実際にとられている品質保証システムに照らし合わせて,新たな品質管理手法を提案できた.以上の研究推進と並行して,次年度以降の次世代型ソフトウェアプロジェクト(特にオープンソースソフトウェアプロジェクト)評価法の研究に繋がる上記の実プロジェクトの開発データを収集して,実用性と汎用性の観点から実践的品質・信頼性評価手法として有望な数理モデルを検討するとともに,研究成果を適切な学会で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実績に基づいて,当初の研究目的である品質指向ソフトウェアマネジメントのために,「プロセスとプロダクトの品質に影響を及ぼす要因分析と高品質ソフトウェア開発のための総合的品質保証システムについて考察する」について,ほぼ研究目的が達成できたといえる.以下がその詳細である. (1) プロジェクトの失敗を回避するために,プロセス監視活動および設計評価活動を取り入れて,プロジェクトマネジメントを強化している実際プジェクトの分析から,開発の上流工程での有意なプロセス品質要因が,プロダクト品質要因としての信頼性に及ぼす影響度合い分かった.また, 開発早期段階において,これらの諸要因と,プロジェクト評価尺度QCD とを関係づけるソフトウェアマネジメントモデルを,これまでの研究により改良された手順に従って導出できた.このとき,ソフトウェアマネジメントモデル導出において,汎用統計解析業務ソフトウェアパッケージを通じて,多変量解析法のなかでも構造方程式モデリング(SEM)が有効であることが分かった. (2) 以上を踏まえて,V&V が効果的に開発プロセスにおいて実施できる品質保証システムを検討することによって,課題やフォールト発生・混入の諸原因の分析を実測データを使って行った.これらの研究成果を基に,特に管理図法(x管理図,u管理図,c管理図)が下流工程における品質の管理状況だけでなく,上流工程における問題や課題のプロセスレビューによる指摘数を基に,工程の安定度評価にも有効であることが分かった. (3) 次年度以降の次世代型ソフトウェアプロジェクト(特にオープンソースソフトウェアプロジェクト)評価法の研究に繋がる実測データを収集し,実用性と汎用性の観点から実践的品質・信頼性評価手法として有望な数理モデルを提案することが出来たとともに,以上の研究成果を適切な学会で発表することもできた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,まず次世代型ソフトウェア開発プロジェクトについてもプロセス品質およびプロダクト品質に影響を及ぼす要因分析をV&V 視点から行い,有意なプロセス要因とプロジェクトのQCD評価尺度を関係づけるソフトウェアマネジメントモデルを導出する.同時にプロジェクトにおける定量的品質・信頼性評価技術についても議論する.具体的には,以下の手順の通り研究を進める.(1) 次世代型ソフトウェア開発プロジェクトであるオープンソースプロジェクト方式とアジャイル開発方式に対するプロセス品質要因と,対応する各テスト工程でのプロダクト品質要因をまとめ,それらの関係把握および相関分析を行う.オープンソースプロジェクト方式では,公開されたソフトウェアの使用中にユーザが検出した不具合とその障害内容がバグトラッキングシステム上に登録され,ソースコードの修正が行われる.ここで,登録された情報に基づいて,有意なプロセス要因とプロダクト要因を明確にする.アジャイル開発方式では,開発期間を短期間(イテレーション)に区切り,そこで動作可能なアプリケーションを開発するという作業を繰返して,段階的にシステムを組み立てるプロセスとなるので,最終製品品質に影響するプロセス要因とプロダクト要因の抽出を,階層的に要因系統図等を適用して行う.(2) 平成25 年度の研究計画・方法におけるソフトウェアマネジメントモデルの導出手順に従って,次世代型ソフトウェア開発プロジェクトにおけるプロセス品質要因と,最終プロダクト品質をはじめとするプロジェクト評価尺度である代表的QCD 指標とを関係づけるソフトウェアマネジメントモデルを導出する. 以上の研究成果をまとめ,報告書を作成する.また,研究成果を適切な学会で発表する.(3)品質指向ソフトウェアマネジメントの定着化のための定量的プロジェクト評価法の提案とそのツール構築について議論する.
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