2014 Fiscal Year Research-status Report
生産―物流―販売環境が不確実な循環型サプライチェーンの数理解析と最適化
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25350451
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
楠川 恵津子 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (00336801)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サプライチェーンマネジメント / グリーンサプライチェーン / Eコマース / 供給の乱れ / 在庫管理 / 品質管理 / ゲーム理論 / 進化ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、平成25年度に研究成果が得られた生産-物流-在庫-品質-販売面から使用済み製品の再資源化、製品の市場販売後の売れ残り製品および顧客からの返品製品および天災や生産工程不具合による物品供給の乱れを考慮したサプライチェーン(SC)の最適運用方策につき国内学会で3件、国際会議で5件発表し、海外学術論文誌に5件の査読付き論文掲載となった。平成26年度に得た数理解析で明らかにした研究成果を以下に要約する。 (1) 再資源化を行うグリーンSC(GSC)での製品需要について、(i)確率分布が事前に想定できる状況、(ii)期待値と分散のみがわかる状況および外部機関による再資源化の報酬-罰則契約の有無のもとで、製品発注量、使用済み製品回収インセンティブと再生品質レベルの最適運用方策。(2)回収業者による使用済み製品回収後の品質分類にエラーが生じる状況を想定し、回収業者からの使用済み製品の買取り品質レベルの下限とその下限での再生産率の最適決定。(3) 小売業者と製造業者からなるGSCにつき、小売業者のとる再資源化促進協力の行動戦略と製造業者のとる協力調査の行動戦略が互いに事前に想定できない場合に、定常的で安定した両業者の行動戦略を得るためのGSCでの運用条件。(4)SCでの製品発注機会を2回設ける場合に製品需要予測更新が製品の発注量、販売価格、販促費用の最適決定と卸売価格と買戻し価格のSC調整に与える影響。(5)SCやGSCが天災や生産工程不具合により物品供給に乱れが生じる場合の複数物品調達チャネル導入による有益性とその最適運用方策。(6) 顧客の返品製品を小売業者が一般市場あるいは値引き市場で再販売を行い、各市場での売れ残り製品を製造業者が買戻すSCに対する最適販売方策と業者間での卸売価格と買戻し価格のSC調整。(7) Eコマース環境下のSC業者間での製品の顧客返品率の情報共有の有無が最適販売戦略とSC業者間での買戻し価格と卸売価格のSC調整。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、【研究実績の概要】で既述の平成25年度で得た本研究課題の基礎となる研究成果に基づき、GSCとEコマース環境下でのSCに対し明らかにする必要があった以下の検討項目について数理解析による新たな知見が得られた。生産-物流-在庫-品質-販売面から使用済み製品の再資源化を行うGSCにつき、(i)再生産工程不具合、(ii)製品需要量の不確実さのリスク分析、(iii)使用済み製品回収の不確実さ、(iv)検査方法をそれぞれ考慮したGSCの最適運用方策。また、(v)外部機関と再資源化の報酬-罰則契約を結ぶ複数業者の導入がGSCの最適運用方策に与える有益性。さらに、(vi)Eコマース環境下のSCにつき、製品販売価格と製品需要量の不確実さとの関係と製品の返品額と返品率の不確実さとの関係をともに考慮したリスク分析とその最適決定。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、【現在までの達成度】で既述の平成26年度で得た研究成果を11月に開催予定の国内学会 公益社団法人日本経営工学会秋季大会(石川、日本)で、12月に開催予定の国際会議 The 16th Asia Pacific Industrial Engineering and Management System Conference(Ho Chi Minh City, Vietnam)において公表予定である。また、世界規模で本研究課題の研究成果を公表できるように査読付き海外学術論文誌 An International Journal of Industrial Engineering and Management Systemsに論文投稿予定である。また、今年度は本研究課題の最終年度あるため、研究成果報告書を作成し、本研究課題で得られた研究成果の総括を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度の研究計画に沿った研究遂行により、国際会議で5件、国内会議で3件および海外学術論文誌に5件の査読付き論文掲載となった。1本当たりの論文掲載料が低いものであったため、次年度使用額が生じた。また、平成26年度に得た研究成果のうち、国内外で未発表のものがある。そこで、平成27年度に未発表の研究成果の国内外での研究発表と査読付き海外学術論文誌への論文投稿・掲載のための必要経費に計上する必要があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の使用計画を以下に述べる。平成26年度に未発表の研究成果について、国内学会では公益社団法人 日本経営工学会秋季大会(石川、日本)での大会参加費・旅費に使用する。国際会議 The 16th Asia Pacific Industrial Engineering and Management System Conference(Ho Chi Minh City, Vietnam)での大会参加費・旅費に使用する。平成26年度に得た研究成果について、平成27年度に査読付き海外学術論文誌 An International Journal of Industrial Engineering への論文投稿・掲載料に使用する。
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Remarks |
研究代表者 楠川恵津子の研究内容および本研究課題を含めたこれまでに得られた研究成果に関するwebページを平成27年度中に更新し、公開予定である。
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Research Products
(14 results)