2014 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク型社会基盤システム信頼性設計法の基礎的研究
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25350460
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
渡邉 均 東京理科大学, 工学部, 教授 (20439920)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会インフラ / 信頼性 / 経済性 / シミュレーション / ネットワーク / 効用 |
Outline of Annual Research Achievements |
電力網、交通網あるいは通信網等、ネットワーク(以下「網」)状に構成される各種社会基盤システムに対して、あるべき信頼性水準、簡易な信頼性設計方法および災害時における設備等のマネジメントのあり方を決定する手法を確立し、Webページ等で広く公開することを目的に平成25年度から3年計画で進めている。平成25年度は第1年目として、情報発信用サーバの設置および既存プログラムのWebページに適したプログラムへの変更作業、給電スタンドの経済性と走行中の電池切れ率とを考慮した電気自動車の快適性評価手法、災害時の避難効率と通信網の信頼性の関係等について検討を行った。平成26年度は、電力・空調システムの信頼性評価事例の更なる蓄積と、通信網によって支援される他の網の効用と信頼性の関係の解明を柱として進めた。具体的には、 (1)電力及び空調システムについては、25年度にひきつづき、実際の信頼性特性の解明を進めるとともに、システム停止時の社会的影響を調査して信頼性目標を提案する、(2)交通網に関しては、とくに電気自動車の給電について検討を深め、実規模モデルの構築を進める、(3)通信網及び複合システムに関しては、災害時の避難を想定した、通信網の効用を評価するモデルを構築する、ことを目指して進めた。これらに関し、(1)については、前年度に引き続き、設計例となるモデルの蓄積と分析を進め、(2)については、都道府県レベルの道路情報を入手して、実規模モデルの検討を進めた。また、(3)については、複合システムを、支援網及び被支援網からなるシステムとしてモデル化し、被支援網の便益に着目して、支援網に求められる信頼性を決定する手法を検討した。その過程で、被支援網の通信需要を支援網の要素に割り付けることで、自動的に信頼性要求を決定する手法を着想し、その理論化等を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前記(1)については、既存プログラムの利用によるモデル蓄積であって、予定通りの進捗である。一方(2)については、実規模モデルの構築に際し、多少の遅れが生じている。しかし、(3)において着想した手法は、従来にない斬新なものであって、ネットワーク状の複合システムの要求信頼性を決定するシステムに広く展開できると考えている。よって、総合的にはほぼ計画通りの進捗と考えている
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は、最終年度であるので、現在までに検討した基本アルゴリズムの実規模システムを想定したソフトウェアツール化と、Webページ等での公開を目指して進める。各システムについての具体的目標は以下である。 (1)電力及び空調システムについては、風力発電、太陽光発電等を対象に、全国の気候特性等を考慮した最適システム構成をもとめる等、設計例の蓄積をさらに進め、使いやすい設計ツールへと仕上げていく。現在までに開発したソフトウェアツールの入出力画面等を改良し、さらに使いやすくする。また、システムコストおよび停止時の社会的影響等の調査をして信頼性目標を提案する。 (2)交通網に関しては、都道府県レベルの規模を想定し、実際の交通需要及び個々のドライバーの旅行特性、道路網形態等を反映し、電気自動車の給電のみならず、下記(3)の災害時の避難効率と通信網の信頼性の関係を総合的に評価するモデルへと発展させる。 (3)通信網に関しては、平成26年度に着想した信頼性要求の自動決定法を、災害時等の避難行動に応用し、災害時に求められる通信網の信頼性を求める手法として確立していく。その際、発災時に求められる災害情報収集、やや時間をおいて求められる安否情報、さらに避難後の生活情報といった、災害のフェーズに従って変化する通信網への要求を反映できるモデル構築を目指す。
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Causes of Carryover |
研究の円滑化を図るため、年度をまたぐ研究支援業務委託を、平成27年6月30日を納期として60万円で、平成27年2月に契約している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度分は、上記の支払いも併せて、執行予定である。
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Research Products
(3 results)