2014 Fiscal Year Research-status Report
地震被害を受けた木造住宅の復旧可能性と復旧作業安全性判定のための実験解析
Project/Area Number |
25350473
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
津村 浩三 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (30145669)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地震 / 復旧 / 作業安全 / 実験 / シミュレーション / 木造住宅 / 被災 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震後の復旧作業の安全性を確保するにあたり、本震により被災した建物の最大変形または残留変形から余震による倒壊の可能性を判別できると有用であろう。本研究では、この観点から実験とコンピュータシミュレーションを行ったものである。ここでは紙面の都合から、前者の結果についてのみ述べる。 大変形までを含む領域における水平2方向にわたる復元力特性(ばね特性)の履歴依存性に関する基礎的なデータを得るために軸組のみの試験体の実験を行った。基本的な加力履歴は層間変形角がそれぞれ0.4°(1/120rad)、1.4°(1/40rad)、5°レベル、20°レベルで2回ずつ正負加力を行い、最後に正方向に倒壊させるというものである。試験体は同じ仕様のものを5体(No.1からNo.5)製作し、5種類の加力を行った。このうちNo.1には強軸方向に、No.5には弱軸方向に基本的な加力履歴を加えた。No.2からNo.4は弱軸方向加力履歴が加えられることによって強軸方向の復元力特性にどのような影響が与えられるのかを見るためのもので、No.2は5°レベル、No.3は10°レベルまで、No4は20°レベルまで弱軸方向に加力した後、強軸方向に基本的な加力履歴を加えた。実験の結果、弱軸方向への層間変形角の最大経験値が0°(強軸のみ)、5°、10°、20°と大きくなるにつれて強軸方向の最大転倒モーメント[kN・m]が13.3、12.0、9.6、8.2と小さくなっている。強軸のみ試験体の値に対する割合で見ると5°、10°、20°と弱軸方向における最大経験値が大きくなるにつれて、1割、3割、4割と大きく復元力の最大値が低下していることが分かる。これは、水平2方向の復元力特性が独立でないこと、言い換えると相関があることを示している。このように、実験により、木造軸組における復元力特性の多軸相関が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地震被災後の復旧作業安全性に関して目安となる建物の傾きを算出できた。しかし、その値は、地震学上の余震に対するもののみにより検討した場合と地震学上の余震でないものも含めて検討した場合では大きく異なった。この点は今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
達成度の部分で述べたように地震被災後の復旧作業安全性に関して目安となる建物の傾きを算出できた。しかし、その値は、地震学上の余震に対するもののみにより検討した場合と地震学上の余震でないものも含めて検討した場合では大きく異なった。この点は今後の課題であるが、当面はシミュレーション手法の精緻化、実験によるデータの蓄積を計りたい。
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