2013 Fiscal Year Research-status Report
交差点における視環境の評価と事故低減に資する視環境改善手法の検討
Project/Area Number |
25350483
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
森 みどり 神奈川大学, 工学部, 助教 (50409900)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 登 神奈川大学, 工学部, 非常勤講師 (00648909)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 交通事故 / 交通視環境 / 3Dシミュレーション / ドライブレコーダー / カーブミラー |
Research Abstract |
交通事故の再発防止には、科学的視点による合理的根拠を持った原因究明と予防対策を行うことが不可欠である。本研究は、「安全を担保するためには必ず見えていなければならないものが見えない」ような視環境が主因で生じる不安全行動や事故、ニアミス事例を防ぐために、「見えるべきものが見えるように環境側で運転者を支援」する、交差点視環境設計支援システム構築に供する基礎的な理論体系の獲得を目指している。 本年度は、本研究の初年度として先行研究を発展させ、視環境評価・設計支援システムの基本となる交差点視環境シミュレーターの高度化を図ることを主な目的として基礎的研究を行った。すなわち、新規ハードウェア・ソフトウェアの導入および申請者らが独自考案してきた3D CGシミュレーター環境の改修・更新等により、高速な計算環境の整備、交差点環境再現の簡便性・精度の向上および視環境評価・解析システムの高機能化を試行した。具体的には、申請者らがこれまで実施してきた所与条件における交差道路側の死角や見通し距離などのシミュレーション、直接視界/カーブミラー間接視界の定量的評価事例を増やすとともに、視環境の分析・評価をさらに簡便かつ効率的、体系的に実施できるように、3D CGシミュレーション手法の改良・発展と設計支援システム諸条件の詳細検討を進めた。 また、今後実施予定の運転者の視覚情報処理と運転行動戦略の究明に向けて、ドライブレコーダーデータの整理・分析、シミュレーション適用のための予備的検討を行った。 本研究で開発中の交差点視環境シミュレーターおよびシミュレーション手法は他に類例がなく、安全かつ定量的な視環境評価手法として、独自性・有用性が高いものといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、先行研究をさらに発展させ、交差点視環境シミュレーターの高度化を図ることを主な目的とした作業を行った。申請者らが独自考案してきた3D CGシミュレーター環境について、ソフトウェアの改善とハードウェア改修・更新などにより、従来より高速な計算環境の整備、交差点環境再現の簡便性・解像度の向上および視環境評価・解析システムの高機能化を進めた。これにより、これまで実施してきた、所与条件における交差道路側の死角や見通し距離などのシミュレーション、直接視界/カーブミラー間接視界の良否の定量的評価事例を増やすことができた。また、計算の高速化により、計算事例を増やすことはもちろん、計算事例の条件の変更なども容易になり、交差点環境の検討について作業の柔軟性が向上した。この他、交差点のカーブミラー設定の適否を容易に検討できるような出力表示法を考案した。 さらに、運転者の視覚情報処理と運転行動戦略の究明に向けて、次年度以降に進める予定である事故・ニアミスのドライブレコーダー記録データの整理・分析、シミュレーション適用などの手法の発展作業の準備をすることができた。 本年度当初目標は、先行研究の研究作業を発展させ、従来のシミュレーター環境をさらに高度化して、操作が簡単で解像度が高く、計算速度も高速な環境を得ることと、これにより、定量評価事例を増やし、今後の研究環境の整備を行うことであった。従って、以上の理由により、本年度の所期の研究目的については十分達成でき、現在までの研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、以下の方針で推進する計画である。すなわち、(1)交差点カーブミラーの最適位置・角度等を容易に検討できる簡易出力表示法の充実、(2)視環境の定量的評価を容易にする視界の計測手法の工夫とシミュレーション環境の改善、(3)シミュレーション環境に実在交差点のデータを入力する機能の改善、などを行う。これらの手法改善を踏まえて、効果的な計算事例を増やし、それを基に適正な交差点カーブミラーの設置位置・角度や、最適条件からのずれが与える影響などを、理論的・定量的に推定・評価できるようにする予定である。さらにこれらの方策を通して、交差点視環境の変化の傾向やカーブミラー最適位置の決定支援などについて、理論的根拠と体系的手法を確立することを目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
11.に示した計算機環境(ハードウエア・ソフトウェア)の改修・更新について、既存の機器類を活用できたこと、および市販製品の低価格化が予想以上に進み、当初計画よりも安価に導入が行えたため、若干の次年度使用額が生じた。 上記の次年度使用額については、今後の計算機環境改善(ハードウエア・ソフトウェア導入等の物品費)や、アプリケーション改善(役務発注の謝金・人件費)等に投入することにより、当初の計画ないしそれ以上の成果を見込む。
|
Research Products
(4 results)