2013 Fiscal Year Research-status Report
病院防災力診断指標WEB版の開発と病院独自の災害訓練実施を促進する手法の提案
Project/Area Number |
25350486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
池内 淳子 摂南大学, 理工学部, 准教授 (90450254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 幾夫 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50344594)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 病院防災 / 診断システム / 災害対応力 / BCP / 災害訓練 |
Research Abstract |
平成25年度には病院防災力診断指標WEB版の開発を行った。これまでの病院診断は,病院からの情報提供と現地調査を基に研究代表者がグラフ化しており,診断結果の提示までに時間を要することが課題であった.そこで開発するWEB版では,病院関係者がサイト上で必要事項を入力すれば,最後にWEB画面に自己診断結果(速報)として表示されるような仕様とした.一方,病院の入力値が診断結果を大きく左右するため,サイト内に診断マニュアルを常設し,入力作業を容易にするためのインターフェース向上に努めている.これらについては病院勤務者である研究分担者(福田)および研究協力者(権丈・鵜飼・中山)など医療者からの助言を求めた.また,病院による自己診断に加えて,希望があれば研究班の確認作業を通じて「確定診断」が可能となる仕組みを構築した.これらの取り組みについては、日本集団災害医学会学術大会にて発表した(「災害拠点病院を対象とした病院診断指標の構築とWEB版の開発」、池内淳子、権丈英理子、日本集団災害医学会誌、査読なし、Vo.18、No.3、pp.430、2014)。 災害訓練シナリオ作成については,初年度はモデルとなる病院を2病院選定した.ここでは病院側と院内情報や立地状況などを共有しつつ,地震直後のリアリティを持った災害訓練シナリオを作成し病院訓練で検証するため,高い意欲を持った病院の選定が何より重要となる.一方、この2病院はどちらも関西圏外であるため、研究代表者が活動しやすい関西圏内での病院も次年度に選定を続ける。 本応募課題研究による取り組みの発信を行うため、HPを開設した。 http://setsunan-t.com/project/
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の初年時の達成目標としては、(1)病院防災力診断システムWEB版の開発 (2)科研費HPの開設、(3)次年度以降のモデル病院の選定 であった。 (1)については、WEB版を登載したサイトをオープンし日本集団災害医学会での口頭発表も終了しており、現在、各病院が自由に自病院の情報を画面上で入力し、診断結果を導くことができる状態になっている。一方で、「診断結果の正しく利用し病院内で次の取り組みに繋げるための連絡窓口が必要ではないか?」との意見もあり、診断した病院と研究チームとの連絡方法の確立を次年度の課題とした。また、一部マニュアル等のブラッシュアップを必要としていると考えている。また、(2)については、滞りなく終了した。さらに(3)については、病院の候補・選定は終了しているが、関西圏以外の病院が多いため、研究代表者が活動しやすい関西圏内の病院の候補・選定を続ける事とする。以上のように、本研究の初年度予定はおおむね順調に進展していると考えており、次年度以降計画に加えて、今年度得られた新たな課題に取り組むこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度には,災害訓練実施に向けたシナリオ作成を始める.選定した病院の敷地模型および1階の平面図を用いて模型等を製作し,選定病院関係者と共に病院内外の傷病者搬送の動線確認を行う.その際には,院内のみならず,該当病院周辺地図を用いて院外の軽症者の医療提供場所を明確にする.病院の災害時シナリオは,災害直後からの時間軸に沿って記述し,「どこで」「どのような」状況が発生するかを明記する.ここでは,傷病者の治療スペースともなる1階の共有スペース周辺の状況について明記するが,手術室での行動や給水確保に必要となる活動についても病院関係者との協議を進めながら訓練として実施することを呼びかけたい.このように,対象病院の脆弱性や立地条件,町における役割などを,病院関係者と共に確認しながらシナリオ作成を行う.また,2014年度内に実施される病院災害訓練の機会を利用し、災害訓練シナリオを検証する. 病院診断指標WEB版に関しては,自己診断を実施した病院からの意見を収集しシステム改良を行う.また,病院診断指標WEB版の広報活動については,ホームページや学会活動を利用して,また,研究分担者・研究協力者が医療関係者に広報する.WEB版のユーザーを増加させることで,各病院の地震時対策促進に役立てる狙いである.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、年度末に東京において打合せ会議を予定していた。しかし、日本集団災害医学会(東京:2014年2月25日-26日)会場にて簡単な打合せができた事、また、補足的にメールを使用することで打合せ内容が協議できたため、次年度繰越金とした。 研究分担者である福田幾夫氏(弘前大学)の2014年度における打合せ会議旅費として使用する。 これは、繰越金が2013年度における打合せ会議旅費として使用予定であったためである。
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