2014 Fiscal Year Research-status Report
分数階微積分モデルの感覚情報フィードバックによる小型船舶用操舵支援システムの構築
Project/Area Number |
25350487
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
池田 富士雄 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (30353337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外山 茂浩 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (60342507)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小型船舶 / エキスパートパイロット / ビギナーパイロット / 操船シミュレータ / 操舵モデル / 操作性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般に自動車では、運転者は主に視覚、筋肉刺激、運動刺激の3種類の情報を得て操縦できる。その一方、船舶では、操縦者は視覚情報のみで操縦しており、それ以外のフィードバック情報が著しく乏しい。このことは、経験の浅い操船者(ビギナーパイロット)が船舶の操船事故を引き起こす主要因の一つとなっている。そこで本研究では、ビギナーパイロットによる操船事故を減らすため、分数階微分の理論により熟練操船者(エキスパートパイロット)の操舵モデルを求め、操舵シミュレータと3D加振テーブルによって、パイロットへ感覚情報を支援するシステムを構築することを目的としている。 上記の目的を達成するため、前年度に引き続いて操舵モデルの提案、操舵機構の開発を行い、本年度は特に、1.操舵機構の操作性評価、および2.船舶運動の安定性解析、について研究を行った。 1.操舵機構の操作性評価については、まず障害物の緊急回避を想定したシミュレーションタスクを設定し、そのシミュレーションタスクに対して操作性の3つの評価項目である有効性、効率、利用者の満足度の評価を行った。有効性の評価に操船者の視線停滞率、効率の評価に視線移動率をそれぞれ加えて評価した。視線に関する評価項目を加えたことにより、操船動作を効果的に評価し、その評価に至った要因を明確に分析することが可能となった。本手法の基本的な有効性は、被験者10名に対する操船シミュレーションにより確認した。 2.船舶運動の安定性解析については、まず小型船舶の操船に対する人間機械系モデルを構築し、ヒトの比例動作によって制御される小型船舶運動の安定性を解析した。その結果、ヒトの前方注視点距離が長いほど小型船舶運動の安定領域が広いこと、船速に対して比例ゲインhの上限がほぼ比例する形で増加することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設置スペースに限りのある実船での実装を念頭に置き、操舵シミュレータと統合が可能な機構の構築の導入可能性を十分検討できたこと、また感覚情報をフィードバックできる操舵シミュレータを用いて、数名の被験者による操舵実験を行えたことから、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
操船実験の試作機の性能が、要求仕様に対して不十分であったため、その差を埋めるべく、機構の簡素化や再設計および試作機の改良を行う。設計した機構の製作をより簡易に速く行えるよう、卓上CNCフライス器を導入する予定である。また研究代表者が所属する長岡高専の技術協力会と情報交換を重ねるとともに、研究代表者も委員の一人として活動している「運動と振動の制御に関するサイバネティクス研究分科会」(日本機械学会)などに参加し、関連研究者と意見交換を行いながら、常に研究方針、研究手法を検討する。
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