2014 Fiscal Year Research-status Report
静電気災害防止に向けた工業用材料の摩擦電気発生と放電緩和過程の基礎的研究
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25350489
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
三浦 崇 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, その他部局等, 研究員 (80337906)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 労働安全衛生 / 静電気 / 摩擦電気 / 粉じん爆発 / 放電着火 |
Outline of Annual Research Achievements |
静電気災害の出発点とも言える摩擦電気が材料間の接触部分でどのように発生するかに着目し,材料と摩擦速度と帯電特性の関係を詳しく調べることが研究の目的である. 第1年度は計画よりもやや遅れていたため,推進方策を以下のようにした.第1年度で計画していた,PETに対して金属を数種類変えて行う一連の実験を推進するとともに,現在取り組み始めているガラスに対する同様の実験を推進することで,計画にある,1.金属・絶縁体の摩擦帯電特性の測定(真空中,大気中),を完了させる予定である.そして,第2年度に計画していた,2.電荷分離と放電プロセスの分解計測,3. 帯電に対する摩擦速度の影響,について引き続き研究を推進する. この修正計画の1.に対し,ガラスに対するステンレスの静電気測定実験を真空中,および各種気体中で実験し,帯電特性を測定できた.次に2.について研究をすすめ,電荷分離と放電プロセスを分解して計測することに成功した.さらに研究を進めていたところ,アルゴンガス中では帯電の緩和現象が極めて顕著であることを発見し,この点は災害防止に大変重要であるので,詳しく研究した.したがって,3.については第2年度では実施できなかった. やや計画を修正することになったが,アルゴンガス中での顕著な帯電緩和現象について,帯電過程と放電過程の分離測定の結果からも,マイクロギャップ放電の緩和効果が静電気の減少に寄与していることが明らかとなったため,英国での国際会議で発表し,原著論文をまとめることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ステンレスとガラスの実験でアルゴンガスの顕著な帯電緩和効果が実験的に明らかになり,その点を含めて原著論文を発表したため,予定外の作業が生じてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
達成できなかった,3.速度依存性,について,第1第2年度で明らかになった湿気を伴う空気(大気)での帯電特性について研究する.水分を含まない乾燥空気や純粋なガスでは帯電と放電のサイクルが明確に観測されたが,大気ではそれらとは異なった振る舞いが観測された.このマイクロギャップ放電以外と考えられる帯電緩和プロセスを明らかにするためには,速度依存性の測定が有力である.災害防止を念頭に,大気中での静電気の発生と緩和についての基礎的研究をまとめることで,第3年度の計画である災害危険レベルの推定につなげる予定である.
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Causes of Carryover |
わずかではあるが,第2年度の使用額の一部を第3年度に繰り越すこととなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第2年度に予定していた試料の購入に対して主に使用する計画である.また,第2年度の残額は第2年度の助成金額の1割程度であり,また,第3年度の助成額に対しては3割未満であるので,当初の計画から大きく外れることはない.
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Research Products
(4 results)