2014 Fiscal Year Research-status Report
GPSを用いた地盤変位計測のリアルタイム性の強化による安全監視の高度化
Project/Area Number |
25350506
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
清水 則一 山口大学, 理工学研究科, 教授 (70150357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 伸一郎 山口大学, 理工学研究科, 助教 (70346089)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 地盤変位計測 / GPS / キネマティック計測 / 斜面安定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,GPSを用いた地盤変位計測システムのリアルタイム性を更に強化することによって,豪雨時・地震時における地盤災害を迅速かつ安全に監視することが可能な現場計測手法を確立することを目指すものである.申請者はこれまでに「mm精度」で地盤の3次元変位を自動連続計測可能なシステムを開発しているが,本研究ではさらにキネマティック方式を導入することで「計測の時間分解能を向上」させることを目的に受信機とデータ処理の方法を開発する.加えて,低価格のセンサー開発の可能性も探る. 平成25年度には,新しい受信機を試作して受信機の基本的な性能を調査するとともに,キネマティック方式の精度検証,さらに,キネマティック方式による計測時間と計測分解能の関係を調べる基本実験を行った.試作機は従来のGPS受信機より優れた精度でキネマティック計測を実施でき,さらに, 1時間間隔のスタティック計測とほぼ同精度の計測がキネマティックでは10分間隔でできる可能性を明らかにした. 平成26年度には,試作した受信機の性能調査のための実験を進め,短周期キネマティック計測の実現とその評価を行った結果,30秒周期でも高精度に変位を計測できる可能性を見出した.また,アンテナについても調査し,低価格のヘリカルアンテナを簡易なグランドプレーンを装着することで,高価なフラットアンテナを用いた場合と同等の結果を得ることが分かり,低価格センサー開発の可能性が示された.さらに,斜面,ダムなどのGPS変位計測のこれまでの成果を取りまとめ,国際会議などで発表した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の成果を受けて,今年度は,受信機性能の調査を短基線長,および,中基線長に対して実施した.また,強制変位実験を行い,変位計測の直接的な精度を明らかにした.加えて,低価格センサー開発を目指して,安価なアンテナの利用の可能性を検討し,従来の高精度アンテナとそん色ない結果を得ることが示された. 前年度では,まず,現場計測に用いるために必要な性能を規定し,それに基づいて新しい受信機を試作した.次に,定点観測を実施して誤差分析に用いるデータを取得し,計測継続時間を変化させたキネマティック解析から,計測継続時間と計測精度との関係を明らかにし,要求精度にあった計測継続時間を調査した.試作機は,短基線に対して,従来のGPS受信機と比べても良い精度でキネマティック計測ができることを示し,さらに,1時間間隔のスタティック計測とほぼ同精度の計測がキネマティックでは10分間隔でできる可能性を明らかにした. 今年度は,短基線に加えて,中基線に対する実験を行った.その結果は,昨年得た結果よりさらに優れ,1秒エポックのキネマティックを30秒平均することで,1時間のスタティック計測と変わらない結果を得ることがわかった.これは,当初期待していた以上の性能であり,このことは変位を早期に把握できることを意味し,安全監視や将来の挙動予測につなげることができる成果である. 以上のことより,おおむね順調に進展しているものと考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
観測条件を変えて実験を継続し,成果の妥当性を検証する.さらに,真値推定法として申請者が提唱しているトレンドモデルを本システムに対しても適用し,その精度改善効果を明らかにする.最後に,実際の計測環境下に設置し,提案する手法の精度・確度を検証する.
|
Causes of Carryover |
予算の一部をデータ送信費(電気代,電話代)として使用していたが,請求書が使用月よりあとに到着するうえ,使用料は毎月若干の変動があるので,年度内の使用予算を確定することができなかった. 各料金の支払い用として少し多めに予算を残しておいたため,次年度使用額が残ることになった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度のデータ送信費(電気代,電話代)に充てる.
|
Research Products
(7 results)