2015 Fiscal Year Research-status Report
皮膚接触不要の無意識・無拘束な心疾患検査を可能とする光センシングシステム
Project/Area Number |
25350525
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
庭山 雅嗣 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (40334958)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 近赤外分光法 / オキシメトリー / ヘモグロビン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,光計測により無拘束・無意識に心疾患の兆候を検出可能とするための基礎技術開発を目指している。心疾患には前兆もなく突然死に至るケースが多くあり、長期間長時間の生体データロギングが有力な防止手段となりうる。生体周囲の衣類を伝播する拡散光に着目して、長期間計測の壁となるセンサ装着の煩わしさをなくし、無意識、無拘束、無侵襲的に血液循環機能検査が可能なシステムを創出し、心疾患等の早期発見や健康管理に貢献する手法を見出すことを目的としている。 前年度までに布媒質を介したヘモグロビン濃度計測の高精度化を目指してファントム実験と理論解析で検証してきた。本年度は、さらに多様な条件でのファントム実験とヒト実測で計測特性を解析した。生体模擬試料に対して多様な材質と色の布媒質を接着して近赤外光オキシメトリを行った結果、白以外の色の濃い布など近赤外領域の光に対して強い影響を与える布では、厚みが0.2mm程度であっても著しい減光で測定が困難であった。また、空洞が多く不均質性の高い布は、測定値のばらつき増加の要因となった。これに対し、白色や淡色の厚み2mm程度までの媒質であれば、適切な補正を加えることにより生体組織の酸素濃度が精度良く得られることが示された。これは、淡色シャツでの日常動作時や薄着での就寝時に長時間NIRS計測が可能となることを示唆するものである。ヒト実測では前腕を対象として動静脈閉塞試験を行い、酸素飽和度への布媒質の影響を検証した結果、理論やファントム実験と同様の傾向が観測された。布媒質によって最大40%程度もの誤差が生じることも明らかになり、実際の組織における影響を定量的に把握することができた。これらの結果は布媒質の影響補正法を確立するうえで重要な知見になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多様な条件でのファントム実験とヒト実測を目標としており、その計画通りに実験を実施し、定量的知見を得るところまで至っており、今後の補正法検討のための基礎データを十分に得ることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの結果を精査し、布媒質を介した計測の補正法を確立することを目的とする。補正法の確立においては、理論、ファントム、ヒト実測という検証のループを数回実行して精度を高める。また多チャネル化による広範囲なイメージングも推進していく予定である。
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