2013 Fiscal Year Research-status Report
聴覚検査への適用を目的とした聴覚の定常的応答による検討
Project/Area Number |
25350540
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
田中 慶太 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (10366403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原島 恒夫 筑波大学, 人間総合科学研究科(系), 教授 (70262219)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 聴覚検査 / 脳波 / 脳磁図 |
Research Abstract |
研究目標は,多様な聴覚情報が精神活動にもたらす恩恵及び悪影響について脳科学の手法を用いて,その機序を解明し,次世代の高度情報環境に有用となる様々なシステムを実現するための基礎を築くことである.そのため精神活動を積極的に支援する情報技術を聴覚情報と脳生理学的の関係から検討する.具体的には,これまでの申請者の先行研究で確認した律動的な聴覚野の脳反応(聴性定常応答)の特性を利用することで他覚的な聴力検査システムの構築を目指す. そこで,初年度の前半に研究分担者及び連携研究者と実験条件や被験者となる難聴者の条件等について打合せや聴覚刺激の作成などの実験の準備にあてた.現在も月1回の成果報告や研究打合せを継続的に行っている. 具体的な研究に関して,聴力レベルの他覚的な指標として音の刺激周波数に応じて誘発される聴性定常応答を用いた.はじめに健常者における聴性定常応答の周波数特性を明確にsることを目的として.刺激音である振幅変調音のキャリア周波数,音圧を変化させた時の聴性定常応答の振幅の特性を検討した.その結果,振幅変調音のキャリア周波数が1kHz以下に関しては,聴性定常応答の振幅は,健常者のラウドネス曲線とほぼ一致した特性を示したが,1kHz以上になるとその振幅が減少する結果が得られた.このことから,聴性定常応答は,音の周波数が1kHz以下の聴力レベルの検査に関しては,有効であるが,それ以上の周波数では,使用できない.その原因と改善方法に関しては,今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね申請書に記載した研究目的の内容と予想される結果に沿って研究が進展している.また進展具合を確認するため,研究分担者と連携研究者との月1回の研究打合せや成果報告を行い,議論している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,音の周波数1kHz以上で見られた聴性定常応答の振幅の減少の原因とその対策を講じる.更に個人差による影響が大きかった(聴覚反応が小さい被験者がいる).統計手法を用いて,更なる正確な診断を実現するため,聴性定常応答を高振幅で誘起する手法を検索する.そこで刺激条件(刺激音の種類(チャープ音など),刺激音の呈示方法など)を変え,繰り返し実験する.そして高振幅を誘起しやすい条件を特定する. これまでは脳磁図を用いて,ヒトの聴覚野の活動に対して高精度な計測を行い,その特性を明確にすることに主眼を置いてきたが,これ以降は,より簡便な聴覚検査に重点を置く.そのため汎用性の高い脳波による検討を行う.脳磁図の結果を比較して,更に高振幅を得るための実験条件を検索する.ここで,脳波による基準電極の位置や雑音などの影響による脳磁図との結果の相違が予想される.これまでの経験を基に,それらの問題に対処することで脳磁図との結果の違いを明確にする.
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