2014 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖RAFT試薬活用ミニエマルション重合による抗血栓性ポリマーコート剤の創製
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25350550
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鳴海 敦 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (60443975)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖鎖修飾ポリマー / バイオコンジュゲート / RAFT重合 / ミニエマルション重合 / 末端修飾ポリマー / ブロックコポリマー / 両親媒性ポリマー / ナノ相分離構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、糖鎖RAFT試薬を用いたスチレン (St) およびメチルメタクリレート (MMA)のRAFT重合を、溶媒にジメチルホルムアミド (DMF) を用いて行った。これにより、主鎖重合度の異なる一連の糖鎖末端ポリマーを得た。それらの固体におけるSAXS測定を実施した。主鎖重合度が約50の糖鎖末端ポリスチレンは、加温により、体心立方格子型の超微細相分離構造を自己構築することがわかった。より詳細には、糖鎖で構成された球状ドメインの直径は約5 nm、そのドメイン間距離は約10 nmであることが示された。糖鎖末端ポリメチルメタクリレートについても類似の結果が得られた。さらに、平成26年度は、本研究の目的である水中での精密合成についても検討を開始した。具体的には、糖鎖RAFT試薬を用いたStのソープフリーRAFTミニエマルション重合を実施した。以下に結果の概要を述べる。St、糖鎖RAFT試薬、および過硫酸カリウム (KPS) を50/1/0.5のモル比で水に加え乳化させた。さらにヘキサデカンをハイドロホーブとして加え、30分間超音波処理を行い、ミニエマルション重合水溶液を調製した。得られたミニエマルション重合水溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で撹拌した。6時間後、Stの転化率は94%に達し、数平均直径41 nmのラテックスが得られた。ラテックスを形成するポリマー1分子の構造解析をSEC (DMF) 測定、NMR測定により行った。本水系重合では、数平均分子量が4400 g/mol、分子量分散度が1.20の構造の制御された糖鎖末端ポリマーが得られることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究では、これまでに、糖鎖RAFT試薬の合成ルートを確立するに至っている。それを用いたRAFT重合により、構造の制御された糖鎖末端ポリスチレンおよびポリメチルメタクリレートが合成可能なことを示している。以上の成果は、平成26年に誌上発表にて公表した (Biomacromolecules 2014, 15, 4509)。また、本RAFT重合を活用することにより、熱応答性を示す糖鎖末端ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)の合成も可能であることを示した (Chem. Lett. 2015, 44, 428)。さらに、平成26年度は、水中での精密合成の達成を目的として、実験を繰り返しおこなった。現時点で、糖鎖RAFT試薬を活用したスチレンのソープフリーRAFTミニエマルション重合により、すなわち水系において、構造の制御された糖鎖末端ポリスチレンを得る合成条件を見出すに至っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も引き続き、糖鎖RAFT試薬を活用したスチレンのソープフリーRAFTミニエマルション重合を実施し、合成条件の最適化を図る。生成物である糖鎖末端ポリマーをテトラヒドロフランやクロロホルムなどの有機溶媒に溶解し、そこで得られるポリマー構造体について評価する。ポリマー構造体(高分子逆ミセル状の構造体を想定している)の溶液をシリコン基板上にキャストし、フィルムを作製する。フィルムの生体機能性について評価する。併せて、フィルム表面の形態観察を原子間力顕微鏡 (AFM) 測定により行う。
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Research Products
(4 results)