2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350556
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
平野 義明 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80247874)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞集合体 / 周期性ペプチド / 線維芽細胞 / 肝細胞 / 軟骨細胞 / アルブミン産出 / グリコサミノグリカン |
Research Abstract |
研究代表者の平野は塩基性アミノ酸であるリシンとイミノ酸であるプロリンからなる(Lys-Pro)nの繰り返し配列がn=10~12の時に、細胞集合体を誘導することを明らかにした。これらペプチドを、培地に添加するだけで誘導することが可能である。そこで、平成25年度は細胞集合体誘導ペプチドのアミノ酸配列(Lys-Pro)nの最適化を行った。そのペプチドを利用して、細胞集合体誘導ペプチドと幹細胞や各種臓器由来細胞との相互作用の解析をおこない、細胞集合体の形成の有無について考察した。 (Lys-Pro)n 配列の重要性を解明するため、類縁体である(Lys-Pro-Pro)n, (Lys-LysーPro)n,(Lys-Lys-Pro-Pro)n を合成し、これらペプチドによる細胞集合体誘導活性を評価した。その結果、(Lys-Pro-Pro)n, (Lys-LysーPro)n,(n=8)において細胞集合体を得ることが出来た。その際の培地への添加濃度は、ペプチド配列中のLys残基数に影響することが明らかになった。(Lys-Pro)nペプチドついて、肝細胞・軟骨細胞・幹細胞を用いて細胞集合体の誘導を試みた結果、いずれの場合においても細胞集合体を形成できることがわかった。肝細胞については、通常の2次元培養に比べて、集合体を形成した方がアルブミンの産出量が優位に高いことが明らかになった。同様に、軟骨細胞においては、グリコサミノグリカンの産出量が多いことが分かった。 以上のように、リシンとプロリンからなる周期性ペプチドは、細胞集合体誘導活性を有しており、各種細胞への適応範囲も広いことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 細胞集合体誘導ペプチドのアミノ酸配列の最適化、2. 細胞集合体誘導ペプチドと各種細胞との相互作用の解析、3. 細胞集合体誘導ペプチドによる細胞培養環境依存性の検討 25年度は上記3点について研究を遂行した。細胞集合体誘導ペプチドのアミノ酸配列の最適化については、最適なアミノ酸配列と培地へのペプチドの添加濃度について検討を行い、最適条件を見出した。細胞集合体誘導ペプチドと各種細胞との相互作用の解析については、線維芽細胞・肝細胞・軟骨細胞・幹細胞の4種類の細胞について検討を加え活性評価も行った。3. 細胞集合体誘導ペプチドによる細胞培養環境依存性の検討については、添加濃度や添加時期の最適化を行い、再現性よく細胞集合体を形成できる条件を見出した。以上のように、25年度は概ね順調に研究が進んだと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に引き続き、1.細胞集合体誘導ペプチドと各種細胞との相互作用の解析をより詳細に行う。細胞集合体誘導ペプチドは正電荷を有していることから、細胞膜と相互作用することが推測される。そこで、細胞膜への分配・細胞膜中での拡散について定量的に考察する。 2.細胞集合体誘導ペプチドの集合体形成メカニズムの解析を行う。ヒト間葉系幹細胞hMSCや誘導分化能がある細胞株を用いて骨芽細胞への分化を行い、ペプチドの作用機構と分化などの細胞機能の関連性を追跡する。 3.細胞集合体誘導ペプチドによる細胞培養環境依存性の検討を行う。この手法は、培養液中にペプチドを添加するだけで細胞集合体が誘導できることから、共培養系にペプチドを添加することで細胞の住み分けが可能か検討する。このことが達成できれば生体組織形成のメカニズムを解明することが可能となる。26年度は、この3点を中心に研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
26年度には、細胞集合体誘導ペプチドの集合体形成メカニズムの解析を行う予定をしている。その際には、蛍光関連の高額試薬が必要となるため、その一部を繰り越した。 細胞集合体誘導ペプチドの集合体形成メカニズムの解析を行う。そのため蛍光試薬や細胞機能の染色用試薬の購入に繰越金を充当する。また、蛍光タンパク質を発現する細胞やヒト由来の肝細胞の購入に充てる予定である。
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