2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノ医用診断のためのSQUID磁気センサの高性能化設計用シミュレーションの開発
Project/Area Number |
25350558
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野口 聡 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (30314735)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超電導シミュレーション / SQUID / 高温超電導体 |
Research Abstract |
該当年度は、主にSQUIDリングのシミュレーションと磁束挙動シミュレーション・ツールの開発に取り組んだ。 HTS dc-SQUID を解析、設計するためには、ジョセフソン接合の特性を考慮する必要性がある。すでに等価回路でジョセフソン接合の特性を考慮できることは知られているので、有限要素法に等価回路を組み込み、量子化磁束を考慮したシミュレーション・ツールを開発した。これにより、SQUIDリング内のジョセフソン接合の状態を表現できるようになった。しかし、dc-SQUIDの動作原理を模擬するための、磁束―電圧特性を表現するには至らなかった。それは、ジョセフソン接合内の位相差と電圧特性が、急激に変化することから、回路方程式で表現することはかなり難しいからである。今後は、より量子化された方程式を連成させる必要があると判断している。 さらに、最適化設計技術の開発を前倒しして開始した。具体的には、最適化計算中のシミュレーション結果が初期メッシュに依存することから、最適解が得られないことがある。そこで、初期メッシュに依存しない最適化設計手法を開発した。 続いて、SQUID センサ内の高温超伝導体やジョセフソン接合部の磁束挙動が、SQUID センサの安定性に大きな影響を与えることが知られているので、磁束挙動のようなミクロ・スケールのシミュレーション・ツールを開発した。シミュレーションでは、電磁力やピン止め力を考慮でき、フラックスフローやフラックスクリープ現象をシミュレーションで再現するに至っている。しかし、実際のYBCOのピンニング特性やピンの大きさなど不明瞭な部分が多く、今後はパラメータ同定などが必要となるであろう。また、通常のワークステーションでは、解析領域が極端に小さすぎるので、コプロセッサ搭載ワークステーションで大規模解析のためのプログラム開発に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1つ目の課題は、有限要素法と回路の連成解析で、SQUIDの電磁現象をシミュレーションする予定であった。シミュレーションツールの開発には成功したが、開発したシミュレーションツールでは、不十分であることが分かった。さらに量子条件を加える必要があり、当初予定よりも少し遅れていると判断している。 2つ目の課題は、ミクロ的磁束シミュレーションツールの開発である。こちらは、順調に開発でき、2014年度の国際会議でも報告予定である。 当初は、上記2つの課題予定であったが、前倒しして最適化設計技術についての検討を開始した。まだ、開発検討中であるが、先んじて開始したことは評価できると判断している。 以上を総合して、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初からの予定通り、今後は、開発途中の有限要素法と回路の連成解析と、ミクロ的磁束シミュレーションツールから、SQUIDの磁気ノイズのメカニズム解明に取り組む。 変更点としては、当初予定であった回路解析が、よりミクロ的な量子的条件を考慮する必要が生じたことである。現在は、その量子的条件の部分的な考慮まで達成している。残った課題は、計算時間の問題であるため、高速化などを考える予定である。 また、実験も適宜行い、シミュレーションツールの妥当性の確認を行うとともに、磁気ノイズのメカニズムも解明していきたい。 最終的には、最適化設計を行い、ノイズの少ないSQUIDセンサの開発を目指したい。
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Research Products
(4 results)