2013 Fiscal Year Research-status Report
移植腎傷害早期診断バイオマーカーとしての尿中L-FABPの前臨床研究
Project/Area Number |
25350559
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
片山 泰章 岩手大学, 農学部, 准教授 (70436054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 雅雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (20392144)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | L-FABP / 猫 / 腎臓 |
Research Abstract |
本年度はヒトとネコのL-FABPのアミノ酸配列の相同性を調べ、ヒト型L-FABP抗体の抗原部位のペプチド配列とネコL-FABP配列の比較を行い、抗体の交差性について検討した。今回ゲノム解析ではネコL-FABPの全長配列を明らかに出来なかったが、ネコL-FABPの全長塩基配列を明らかにし、ヒトとネコのL-FABPのアミノ酸配列を比較した結果、90%以上の相同性が認められた。次にネコの腎臓をホモジナイズした試料を抗L-FABP抗体でWestern Blottingし、ネコのL-FABPの腎臓での発現有無の確認と抗体との交差性で確認した。その結果、L-FABPの分子量と一致するバンドがネコの腎臓で検出されたことからネコにおいてヒト型抗体が使用可能であると判断した。現在正常ネコの腎臓組織と腎臓病罹患ネコの腎臓組織を抗L-FABP抗体で免疫染色し、正常時、疾病時におけるL-FABPの組織局在の違いについて検討中である。疾病時では正常時に比較してL-FABPは尿細管管腔内に強く染色される傾向が認められている。 次にL-FABPが腎傷害時に尿中へ排泄されるかについて慢性腎臓病の自然発症ネコを用いて検討した。本実験では対象動物として岩手大学農学部附属動物病院に来院する慢性腎臓病罹患ネコおよび他病院からの協力により収集したサンプルを用いた。L-FABPと古典的腎機能評価法であるGFR測定値やクレアチニン値等を比較したところ、慢性例においては相関関係は示すものの、腎臓病の早期診断という意味ではその有効性を明らかにはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用している組織サンプルが死後サンプルであるため、全体的にL-FABPが強く染色される傾向にあった。したがって、使用抗体の濃度を再検討する必要性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、猫の腎虚血再灌流傷害モデルを作製し、腎臓の虚血・再灌流傷害が尿中L-FABPへ尿中排泄量に影響するか評価する。本実験では血管や尿管吻合の影響を除外し虚血再灌流傷害のみの影響をモニターするため両腎血管を一時的にクランプする虚血再灌流モデルを選択し、処置後14日間モニタリングする。L-FABPの比較対象とする腎機能評価項目として、生化学検査、尿検査(尿蛋白クレアチニン値含)、GFR測定を経時的に実施する。また、腎組織サンプルを生検し抗L-FABP抗体で免疫染色を実施することにより、尿細管傷害におけるL-FABPの尿細管上皮細胞から尿中への動向を明らかにする。
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