2013 Fiscal Year Research-status Report
複数の故障解析手法を連携させた医薬品製造システムのリスクマネジメント手法
Project/Area Number |
25350564
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高橋 正和 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (20403446)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソフトウェア / 組込みソフトウェア / 故障モード影響解析 / 故障木解析 / コンピュータ化システムバリデーション |
Research Abstract |
平成25年度は,医薬品製造に関わるシステム(DMCS)向けの故障解析手法(故障モード影響解析(FMEA),故障木解析(FTA))手法について研究すると共に,支援ツールを試作した.さらに,それらの成果を医薬品製造に関わるシステムのコンピュータ化システムバリデーション(CSV)及び高齢者向けの椅子からの立ち上がり支援システムの試作に適用した.以下に実績の詳細を示す. 1.FMEAについては,既存システムのFMEA結果を収集し,DMCSに共通に使用可能な故障モードの一覧を作成した.併せて,支援ツールを試作した.それらを,5件の既存DMCSに適用した.提案手法によるFMEA結果と既存FMEA結果を比較したところ,提案手法の方がより多くの故障を検討することができていることが確認できた. 2.FTAについては,特にリアルタイムシステム向けのFTA実施手順を規定し,支援ツールを試作した.それらを,2件の既存リアルタイムシステムに適用した.その結果,手順を規定したことで,異なる技術者がFTAを行った場合でも,同等の結果をえることができた.さらに,既存のFTAの結果と比較して,さらに細かい原因を同定することができた.これらの成果を研究会発表した.さらに国際会議論文として投稿した. 3.上記のFMEAとFTAの手法を繰り返し実施することで,DMCSを安全化するための手法を規定した.その手順を組み込んだプログラマブル・ロジック・コントローラを用いたDMCS向けのCSV手順を提案し,既存の事例に適用した.そしてその結果を論文誌で発表した.また高齢者向けの椅子からの立ち上がり支援具の制御ソフトウェアの安全化に適用した.製作した支援具を用いた立ち上がり実験の結果を論文誌で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目標は「FMEA手法の提案」,「FTA手法の提案」,「開発工程全体で使用可能なリスクマネジメント(RM)手法の規定」であった.個別の達成度について以下に述べる. 「FMEA手法の提案」については研究実績の概要の詳細1で示したように,FMEA手法を提案し,支援ツールを試作した.そして,その成果を論文誌で発表した.従って,当初の予定通りであり,おおむね順調に進展していると言える. 「FTA手法の提案」については研究実績の概要の詳細2で示したように,FTA手法を提案し,支援ツールを試作した.そして,その成果を研究会で発表した.さらに,国際会議論文として投稿した(査読中).従って,当初の予定通りであり,おおむね順調に進展していると言える. 「開発工程全体で使用可能なリスクマネジメント(RM)手法の規定」については研究実績の概要の詳細3で示したように,上記のFMEA手法とFTA手法を組み合わせたRM手法を規定し,それをCSVや高齢者向けの椅子からの立ち上がり支援具の開発に適用した.さらに,その結果を論文誌で発表した.従って,当初の予定通りであり,おおむね順調に進展していると言える. 以上の結果から,平成25年度の本研究はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度までに,本研究で実施すべき基本的な項目は出来上がった.しかし,これらはまだ試作段階であるため,実用化に向けた作り込みや,適用事例の増加が必要不可欠である.従って,平成26年度以降は,これらの項目を中心に研究を実施していく.さらに,RM支援ツールの試作を行う必要がある.具体的な推進内容を以下に示す. 1.平成25年度に試作したFMEAとFTAの支援ツールを組み込んだRM支援ツールを試作する.そして,RM支援ツールを実際のシステム開発に適用し,評価を行う. 2.提案したFMEAとFTAの実システムへの適用を行う.それを通じて手法と支援ツールの問題点を明らかにする.その結果をもとに,これらの改善を行い,より実用的な手法を実現する. 3.上記の1と2で試作した支援ツールを企業等に公開し,使用者の立場からみた評価を仰ぐ.そして,その結果をもとに,試作した支援ツールの改善を行っていく. なお,本研究を円滑に進めていくために,第一工業大学工学部自然環境工学科の難波礼治講師を連携研究者とする.難波氏には提案手法の適用について分担してもらう予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際会議SICE2014に論文を2編投稿したが、報告書提出時点までに採録/不採録の決定が間に合わなかったため. 上記の論文が採録された場合には、直ちに予算を執行する.
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