2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350569
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田川 憲男 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (00244418)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スペックル抑圧 / 局所的ずり弾性波硬さ計測 / 高調波FDA補償 |
Research Abstract |
(1) 送信ビーム周波数の不規則変動を用いるスペックル抑圧 当該研究者はこれまでに、スペックルパターンに強制的に時間的不規則性を与える抑圧手法を検討し、超音波探触子をビーム送信方向に沿って不規則に変動させる方法と、焦点位置の不規則振動による方法を提案している。両手法とも、原理的に信号のボケが生じる可能性があり、さらに前者は時間平均処理前にエコーの時刻合せ(時間シフト)が必要である。本研究では、送信ビームの搬送波周波数を不規則に変動させる手法を提案し、シミュレーションにより先の2手法のおよそ2倍に相当する6dBの抑圧性能を確認した。 (2) 縦波-横波モード変換を利用する組織の硬さ計測 当該研究者は、ずり弾性波(shear wave)に基づく生体組織の硬さ計測において、生体への安全性と生体深部の計測を重視し、通常の画像化に用いる縦波ビームを腫瘍部分に照射し、硬さ境界でのモード変換として効率的に生じるshear waveを利用する方式を検討してきた。この方式における速度計測の問題は、shear waveの短波長性と小振幅性である。そこで、ビート波shear waveを生成し、速度計測用にFMチャープを用いる手法を提案した。チャープ信号はドップラー効果によりエコーが乱れるため、これを検出することでビート波の速度計測が可能となることを確認した。 (3) 高調波のFDA補正 高調波エコーの利用は高精細な画像化に有効である一方で、S/Nの面で不利であり、パルス圧縮法が利用されることが多い。高調波は周波数が高いため、FDAの影響を受けやすく、ゆえにパルス圧縮処理が適切に行われない。当該研究者はこれまでに、基本波エコーを対象として、エコーにFDAが作用した後に理想的な波形になるよう、参照用送受信を介して適切な送信信号を適応的に見積もるFDA補償手法を提案している。本研究ではこの手法を高調波に対して拡張し、有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた研究計画の中で、高調波画像化の高S/N化、および超解像化についての検討が行えなかった。前者については、送信ビームを形成せずに受信側のビームフォーミングのみで画像化を行う手法(合成開口画像化法)に基づいて研究を進める予定であったところ、この合成開口画像化法に関する調査や理解に時間を費やしてしまったことが原因である。後者に関しては、方位方向の変調方法が具体化できなかったことが原因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行えなかった上記2点に関する研究の進展を図った上で、その結果および今年度の成果を適切に結合して、高画質化の総合的な性能向上を目指す。この段階までは、計測時間、計算時間等については意識せずに進める予定であり、最終的には実時間計測性を考慮したチューニングを「圧縮センシング」等の考え方も活用しながら実施する。ファントムを使った実験についても検討を進める。
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