2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350569
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田川 憲男 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (00244418)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高調波FDA補償 / 超解像 / 合成開口 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 高調波のFDA補償 生体高調波イメージングでは高い周波数を利用するため、周波数依存減衰(FDA)による画像劣化が生じやすい。そこで昨年度の研究において、FDAを補償する送信信号を用いることで、FDAを受けた後のエコーが所望の波形となり、画像劣化が軽減される画像化手法を提案した。しかしこの手法は、FDAのモデリングが不十分であり、高調波帯のみがFDAの影響を受けるものと仮定されていた。本年度は生体高調波の特性を考慮し、送信基本波が減衰した上で高調波が発生し、その高調波がさらにFDAを受けるというモデルに基づくFDA補償手法を提案し、その有効性を確認した。
(2) 距離方向超解像手法の合成開口イメージングへの拡張 本研究室で既提案の距離方向超解像手法である SCM(Super resolution FM-Chirp correlation Method)は、送信ビームを形成して搬送波の位相情報の利用により超解像を実現する。しかし、各画像化方向に対して複数回の送信が必要となり、実時間イメージングが困難であった。本年度は、SCM を合成開口イメージングに拡張した SA-SCM を提案した。SA-SCM では、送信ビームを作らず、画像化領域全体に一斉に送信を行うため、SCM で必要となる送信回数のライン数分の1で1枚の画像が得られ、効率が大幅に向上する。ただし、合成開口に際しての遅延加算処理による位相情報の乱れのため、SCM に比較しての画質劣化が懸念される。そこで、有限要素法によるシミュレーションによって画質評価を行ったところ、SA-SCM の分解能は SCM には及ばないものの、SA-SCM 処理前に比べて十分な解像度の向上が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1) 高調波FDA補償に関しては、ほぼ予定通りの進捗があったが、実験が十分に行えなかった。アレイ送受信システムによる実験を予定していたが、システムの稼働準備に時間を費やしてしまったのがその原因である。また、本手法は ROI を設定して、局所的な高画質化を実現するものであるため、どの程度の範囲で高画質化が可能であるかについて、定量的評価が必要である。
(2) 超解像手法に関しては、方位方向の分解能向上についての検討が行えなかった。従来のビーム送信に基づく超解像手法の合成開口方式への拡張は、今回確認できた画像化効率の向上のみでなく、方位方向への処理に対する優位性も意図したものであるため、至急検討を進めたい。また、こちらについても、アレイ送受信システムによる実験評価が行えておらず、次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 提案した高調波FDA補償手法は、事前に通常のBモード画像化を行って、高精細に診断したい部位を ROI として定め、そこで FDA が適切に補償されるように画像化を行う。理論的には、画像の1点ごとに異なる送信波を利用することになるが、実際の適用では1つの送信波である程度の範囲の高精細画像化を行いたい。この範囲をどの程度にできるかを定量的に評価する。さらにこの結果を踏まえながら、アレイ送受信システムを用いた実験を行う。
(2) 方位方向の超解像は、合成開口の特徴である多方向からの送信に基づいて、MUSIC 法の適用により実現可能と考えている。具体的な手法の構築と、その有効性の実験的評価を行う。さらに、従来の SCM からの分解能劣化を解決する工夫についても検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験評価が行えなかったため、相当する費用を次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アレイ送受信システムを用いた実験のために使用する。具体的には、生体を模擬する実験用ファントムの作製、実験用治具の作製等に使用する計画である。
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