2013 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流体素子への超低温耐性・降温制御性付与と,オンチップ細胞調製への応用
Project/Area Number |
25350576
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
二井 信行 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (10508378)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | マイクロ流体 / 細胞培養 / 凍結保存 |
Research Abstract |
1. 超低温に耐えるマイクロ流体チップの設計製作 細胞培養用マイクロ流体チップに対し,光学的アクセスならびに点字によるマイクロ流体駆動の機能は維持しつつ,材料・加工法・組立方法を修正した.まず,新規のマイクロ流体チップを試作し,温度変化に伴う変形,ぜい化,クラッキング,接着面の剥離を防ぐため,構造・材料の両面から修正を行った.次に,フリーザーによる緩慢冷却と緩慢昇温から評価を開始し,解凍後,チップ内を圧縮空気で加圧し,耐圧を確認した.結果,マイクロ流体チップを,-80℃への冷却と常温への解凍に耐えるように改良することができた. 2. マイクロ流体チップ内降温・昇温特性の評価と最適化 マイクロ流体チップ内に細胞を導入し,2種類の凍結保護剤(ジメチルスルホキシドと市販品1種)を用いて凍結・解凍操作を行った.チップ内に温度測定用の極細熱電対を取り付けたうえで,チップ内流路と流路外(導入口)に一般的な細胞株を導入し,チップ内温度を測定しつつ細胞の凍結・解凍を行う.細胞の生存率(蛍光染色により判定)と降温・昇温プロファイルの関係を分析し,細胞の生存率を確保できるチップの構造と降温・昇温プロファイルを求めた.その結果,一般的な細胞の凍結・解凍に近いプログラムをプログラムフリーザーで実施することで,マイクロ流体チップ内(ただし導入口)については,解凍後も細胞は生存することを確認した.しかし,流路内に入った細胞は死滅することを確認した.流路内に気泡が観察されたものもあり,凍結中あるいは解凍中に生じた気泡やその他凍結状態の変化の問題と考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度より所属が変更となり,研究態勢の構築に時間を要したことや,主に機器の不備により,実験に使用する細胞のコンディションが悪く,マイクロ流体チップ内で細胞が生存することを確認するのに手間取ったことが理由として挙げられる.以上の問題はおおむね解決したため,今後は順調に推進できるものと考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
マイクロ流体チップへの凍結耐性の付与ならびにチップ内での細胞の凍結保存は可能であった.しかし,現在のところ,流路外に細胞を置かないと細胞は生存できない.なぜ流路内では細胞が死滅するのかを追究すること,そして,それを点字流体駆動その他の方法で回避できるのかを試すことが当初の推進方策であり,マイクロ流体システムを流通させるための興味深い課題ではあるので,今後試みたいと考えている.一方,流路内で気泡が発生するなどの問題を直接解析・解析するのが困難なことも十分考えられるため,流路外で凍結し,解凍後に流路内に細胞を導入することで,この問題を回避することもオプションとして検討している.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マイクロ流体チップの試作にかかる材料・器具の使用量が,当初予想より若干減少したため. 細胞培養関係の試薬・器具・容器(フラスコ等)に充てる.
|