2013 Fiscal Year Research-status Report
独自のマイクロチップによる疾患マーカータンパク質・核酸の同時かつ簡便な検出
Project/Area Number |
25350581
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
細川 和生 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 専任研究員 (00373366)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 検査・診断システム / マイクロチップ |
Research Abstract |
本研究では,がんの早期診断への応用を目指し,新旧バイオマーカー(血中マイクロRNAおよびタンパク質)を自律駆動マイクロチップとLFDA(laminar flow-assisted dendritic amplification) を用いて簡便かつ高感度に検出できるデバイスの開発を目的としている.これまで,0.5 マイクロリットルのサンプルから一種類のマイクロRNA (miR-21-5p) を20分で,検出限界0.5 pMの感度で蛍光検出するプロトコールを確立してきた.今年度は,プローブDNAの種類を増やし,複数のマイクロRNA(miR-16, 21-5p, 500a-3p)を同時に検出する実験を行った.その結果,それぞれのマイクロRNAが迅速性を損なうことなく検出でき,異なる配列間でほとんど交差反応が見られないこと,また,検出限界が数fMからpMと配列に依存する程度が予想外に大きいことがわかった.具体的にはmiR-16の検出限界が13 fM, miR-21-5pのそれが1.5 pM, miR-500a-3pのそれが82 fM となり,それぞれ単独で測定した実験の結果と整合する値であった.今後は,プローブ設計を工夫し,ターゲットマイクロRNAとの親和性を向上させることにより,検出限界のさらなる改善,および本手法の生体サンプル由来マイクロRNAへの適用を予定している.また,タンパク質の検出に関しては,抗体を固定化する基板として3次元的な表面を持つナノポーラスシリコンを用い,2種類のタンパク質を同時に検出する実験を行った.今回は抗体を物理吸着により固定化することで,これまでの共有結合より固定化時間を短縮することができた.血清中の前立腺がんマーカーであるPSAとhK2を同時にイムノアッセイしたところ,検出限界は1 pg/mLという高感度を達成し,ダイナミックレンジは5桁にわたった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3種類のマイクロRNAを同時に検出する予備実験に成功している.また,検出限界が配列に大きく依存することを発見し,配列によっては検出限界が2桁改善され10の3乗コピー程度が得られている.以上から,25年度の目標はおおむね達成されたと言うことができる.
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロRNAの検出感度が配列に大きく依存することが分かったので,この知見をプローブ設計に活かして,さらなる感度の向上に取り組む.また,計画通りタンパク質とマイクロRNAの同時検出を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文掲載に関する諸費用の請求が次年度にずれこんだため少額の残余を生じた. 少額であるので次年度執行する.論文掲載に関する諸費用などに使用する.
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