2013 Fiscal Year Research-status Report
キセノン光線の星状神経節近傍照射を用いた新しい睡眠改善法の開発
Project/Area Number |
25350588
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
吉田 英樹 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (20400145)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | キセノン光 / 星状神経節 / 自律神経 / 前頭前皮質 / 脳血流 / 末梢循環 / リラクセーション / 睡眠 |
Research Abstract |
平成25年度については、キセノン光線の星状神経節近傍照射が精神面でのリラクセーションに及ぼす影響の検討を中心に研究を進めた。本研究への参加に書面による同意の得られた健常者29名(女性15例、男性14例、年齢21.1±2.3歳)を対象として、全対象者に以下の2つの実験が実施された。<実験1>対象者は、15分間の安静背臥位保持(馴化)の後、同一肢位にて両側の星状神経節近傍へのキセノン光線照射(Xe-LISG)を10分間受けた。<実験2>対象者は馴化の後、Xe-LISGを伴わない安静背臥位保持(コントロール)を10分間継続した。各実験実施中、対象者のリラクセーションおよび自律神経活動動態を評価するために、近赤外線分光分析装置(NIRS)を用いた前頭前皮質領域の脳血流量の測定と心拍計を用いた心拍のゆらぎぎ成分の測定を実施した。その結果、コントロールと比較してXe-LISG実施中では、リラクセーションや交感神経活動の抑制を示す脳血流量の減少や心拍のゆらぎの変化が認められた。以上の結果は、Xe-LISGが即時的な精神面でのリラクセーション効果をもたらし得ることを示しており、即時的な睡眠導入効果をもたらすための土台作りに貢献し得る可能性が期待された。 さらに、上記の対象者のから16名(女性7名、男性9名、年齢20.9±0.9歳)を無作為に抽出して、Xe-LISGによる即時的な精神面でのリラクセーション効果に伴う末梢循環動態への影響、特に交感神経支配の観点から星状神経節と関連が深い上肢の骨格筋血流量への影響を中心に検討した。実験内容は前述の内容と同一であり、NIRSを用いて実験実施中の上肢の骨格筋血流量を測定した。その結果、コントロールと比較してXe-LISG実施中での上肢の骨格筋血流量の有意な増加が認められ、Xe-LISGによる筋循環不全への介入の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの達成度としては「やや遅れている」状況である。このような結果となった理由についてであるが、平成25年度については、研究費申請の段階で立案した実験方法の妥当性の確認作業も目的の一つとしていた。この確認作業を進める中で、当初予定していた頭皮上脳波を用いた対象者の精神面でのリラクセーション効果および即時的な睡眠導入効果の検討が困難であることが判明した。その理由は、対象者の頭皮に国際10-20法に準拠した脳波測定のための電極を貼付することが、対象者の精神面でのリラクセーションおよび睡眠導入の妨げとなってしまったためである。このため、頭皮上脳波に代わる別の評価方法を確立することが必要となり、代替手段としてNIRSを用いた本実験が実施可能となるまでに約半年を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の1年目に当たる平成25年度については、キセノン光線の星状神経節近傍照射に伴うリラクセーションや睡眠導入の可能性を検討するための基礎固めの年となった。また、副次的な成果として、キセノン光線の星状神経節近傍照射に伴う末梢循環動態変化(特に、上肢骨格筋血流量の増加)に関する新しい知見を得ることも出来た。 今後は、当初の研究計画および研究目的に立ち返って、キセノン光線の星状神経節近傍照射に伴う「即時的な睡眠導入効果」の有無を明らかにすることが急務となる。それと同時に、キセノン光線の星状神経節近傍照射が「睡眠の質」に与える影響についても検討を進めていく予定である。この際に、平成25年度では断念した頭皮上脳波を用いた検討が改めて必要になると考えられる。その理由は、NIRSでは精神面でのリラクセーション効果の有無を検討することは可能であったが、入眠後の睡眠段階(眠りの深さ)を検討することはできないためである。このため、対象者の負担とならない頭皮上脳波を用いた評価方法の再検討も必要となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度については、主たる評価方法を頭皮上脳波からNIRSに変更したことで、頭皮上脳波の使用に伴う消耗品購入のための必要経費が大幅に削減された。さらに、研究の進行状況が遅れたことで、キセノン光線の星状神経節近傍照射に伴う即時的な睡眠導入効果を検討するための評価機器を購入しなかった。これらのことが、次年度使用額が生じた主たる理由である。 平成26年度の早い段階で、平成25年度での購入を予定していた機器の購入を進める。また、平成26年度の研究計画で購入予定としていた機器を購入する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Effects of near-infrared irradiation around the stellate ganglion on sympathetic activity and peripheral circulation.2013
Author(s)
Hideki Yoshida, Takaya Maeda, Shunmei Terui, Shigeki Saito, Natsuko Okamoto, Nanako Sato, Yui Sato, Nodoka Ichinohe, Kazuki Narita, Kanshu Hara, Taro Osanai
Organizer
6th WCPT-AWP & 12th ACPT
Place of Presentation
Nan Shan Education & Training Center (Taichung, Taiwan)
Year and Date
20130905-20130909
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[Presentation] Near-infrared irradiation around the stellate ganglion increases skeletal muscle blood flow of the upper extremity.2013
Author(s)
Takaya Maeda, Hideki Yoshida, Shunmei Terui, Shigeki Saito, Natsuko Okamoto, Nanako Sato, Yui Sato, Nodoka Ichinohe, Kazuki Narita, Kanshu Hara, Taro Osanai
Organizer
6th WCPT-AWP & 12th ACPT
Place of Presentation
Nan Shan Education & Training Center (Taichung, Taiwan)
Year and Date
20130905-20130909
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