2014 Fiscal Year Research-status Report
パーキンソン病の構音障害に対する音楽療法の効果と包括的評価法の確立
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25350593
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山中 義崇 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20400963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝比奈 正人 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (40301098)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 構音障害 / 音声分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「カラオケ療法」により,パーキンソン病(PD)患者における小声,構音障害が改善することを明らかにし,他の運動症状や球症状への有効性も確認することが目的である.平成26年度は5症例に対して、Hoehn-Yahr分類Ⅲ-ⅣのPD症例を封筒法による無作為抽出にてアトランダムに「PT+OTのみ」、「PT+OT+言語療法(通常)」「PT+OT+言語療法(カラオケ)」の3群に振り分け、週4日、4週間のリハビリテーションを実施した.評価項目は構音評価,運動症状,QOL・うつ評価,運動機能,肺機能検査とした.解析結果は来年以降に報告する. さらに本研究を通じて,音声分析を利用した客観的な構音障害の包括的評価方法を検討した. 両側視床下部脳深部刺激療法(STN-DBS)後に構音障害が増悪したパーキンソン病(PD)患者における音声分析変化の特徴を検討した.対象はSTN-DBS後に構音障害が増悪したPD患者4例(男3例、女1例.年齢64.3±4.6歳.罹病期間9.5±0.6年).STN-DBS施行前と施行1年後にUPDRS part 3 スコア(on/off)を評価し、「ア」の持続発声と単音(パ、タ、カ)と音節(パタカ)の繰り返しを音声解析ソフトで解析した.持続発声は持続時間、開始時パワー、終了時パワー減衰率を、単音・音節の繰り返しは繰り返し回数、開始時パワー、終了時パワー減衰率を算出した.結果としては、発声持続時間、開始時パワーは大きな変化を認めなかったが、終了時パワー減衰率は増悪した.単音・音節の繰り返し回数は減少し、開始時パワー、終了時パワー減衰率ともに低下した.PDにおける構音障害では、目的音の構音点に構音器官の運動が到達する前に、継続する音を生成するための運動が開始する現象である調音点未到達が知られているが、本検討における単音節繰り返し回数低下と終了時パワー減衰率増悪は,調音点未到達を捉えた所見と考えられ、客観的な構音障害の包括的評価方法になりうると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
エントリー数が当初の目標である年間15症例に達していない.4週間、週4回のリハビリ実施の時間を患者が取れないために本研究に興味はあるが参加を断念したケースがある。エントリー対象者が負担にならないように、外来だけではなく、入院することも含め参加しやすい状況を作り出していくことが重要である。 音声分析を用いた包括的な構音評価に関する評価項目は決定できた。音声分析に関しては、DBSを実施されたPD患者の構音障害について、平成26年度の日本ニューロリハビリテーション学会、ならびに平成27年度の日本神経学会総会で発表ないしは発表予定である。 カラオケが構音のみならず嚥下に関しても影響を与えるかを確認することも目的となる。本年度は嚥下評価法の研修会に参加し知見を深めた。 また、研究分担者である朝比奈正人および千葉大学大学院医学研究院大学院生荒木信之に2014年10月に開催された4th Asian and Oceanian Parkinson’s Disease and Movement Disorders Congressに参加してもらい、PDに関する最新の情報収集を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定である45症例に到達するように、当院神経内科外来で対象患者のリクルートを積極的に行う。DBS実施後に構音障害が顕著になる症例も少なくないので、本研究の除外条件がなければ積極的に参加を検討してもらう。 構音障害の評価方法に関しては評価項目選定はできたので、副項目の範疇ではあるが、嚥下に関しても嚥下造影、嚥下内視鏡で評価を進めていく。
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Causes of Carryover |
パーキンソン病の情報収集を目的としてThe 12th International Conference on Alzheimer's and Parkinson's Diseases and Related Neurological Disorders (フランス)に参加予定であったが、学生指導等の業務と重なったため参加できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
情報収集および成果発表のため、国内学会あるいは国際学会に参加する。
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