2014 Fiscal Year Research-status Report
最適性を基礎とした運動機能制限下での運動戦略の選択に関する理論構築
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25350614
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
藤澤 宏幸 東北文化学園大学, その他の研究科, 教授 (20316425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 博人 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 助手 (50635430)
村上 賢一 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 講師 (60433520)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非対称性 / 足部接地 / 立ち上がり / エネルギーコスト / jerk cost / 運動パターン / 重心軌道 / 形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、椅子からの立ち上がり動作をモデルとして、脳卒中片麻痺患者が用いる非対称性の足接地条件での重心軌道形成について、Jerk costを用いて検討した。被験者は健常成人男性22名とし、以下の2つの肢位で立ち上がり動作を行わせた。すなわち、P1)利き足背屈20度・非利き足背屈0度、P2)利き足背屈20度・非利き足底屈20度。また、立ち上がり条件として、1)意識せずに普通に立ち上がる、2)意識して非利き足に重心移動して立ち上がる、の2つを設定した。体重心および関節運動の測定には3次元運動分析装置を用い、赤外線反射マーカーは両側の肩峰、大転子、外側上顆、外果、第5中足骨骨頭に貼付した。また、重心軌道から各軸方向(前後x、左右y、上下z)のJerk costを算出した。結果、各肢位で意識せずに立ち上がると、これまでの報告どおり利き足側へ重心軌道が偏位した。そこで、Jerk costを比較すると、前後、左右方向で意識的に非利き足に重心を偏位させた場合にJerk costが有意に高かった。一方、上下方向では条件間で有意な差はみられなかった。一般的には、脳卒中片麻痺患者では非麻痺側に重心軌道が偏位する。しかし、麻痺側を引かせ足部位置を非対称性に接地させると、麻痺側に重心軌道が偏位する。運動療法では、この現象を利用して麻痺側への荷重訓練を行っている。すなわち、非対称性足部接地における立ち上がり動作の運動パターンは、Jerk costが小さくなるように形成されていることが本研究で示され、臨床における知見と一致した。機能障害を有する場合の運動パターンの形成においてもエネルギーコストが重要な因子になっていることの一つの証拠として見ることが出来る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始から2年目になったが、当初の計画通り、昨年度は機能障害モデルを用いた歩行パターンの形成についてmetabolic costを用いて検討した。また、本年度は立ち上がり動作について非対称性足部接地における重心軌道形成についてJerk costの観点から検討を行った。これらの成果は平成27年には国際学会で発表予定であり、その後の論文作成も進めている。平成27年度は最終年となるが、予定通り機能障害モデルを用いた跨ぎ動作における運動戦略について検討することになっている。総合的にみて、機能障害を有する場合においてもエネルギーコストが運動パターンの形成において重要な因子となっている根拠が着実に積み重ねられてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、機能障害モデルを用いた跨ぎ動作における運動戦略について検討する。機能障害モデルとしては膝関節に屈曲制限をかけ、運動の多様性のなかで想定される運動戦略、すなわち跨ぎを実現できる運動パターンを複数想定し、どの運動パターンが選択されるのかを観察する。また、その運動パターンが選択される根拠を、重心軌道の滑らかさ、関節運動の観点から検証する。
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Causes of Carryover |
実験において、被験者がボランティアで参加してくれたこと、消耗品費が抑制できたこと、研究成果の報告が最終年度に本格化することなどが理由としてあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度には、成果物の公表などを積極的に行い、適正な助成金の運用に努めたい。
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