2013 Fiscal Year Research-status Report
fMRIとトラクトグラフィーを用いた脳卒中後の片麻痺の回復の予後予測法の開発
Project/Area Number |
25350615
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
加藤 宏之 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (60224531)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | リハビリテーション / functional MRI |
Research Abstract |
左中心後回に限局した脳梗塞による右手の固有感覚消失により、同手の高度の運動制御障害を起こした貴重な症例を経験したので、fMRIとトラクトグラフィーを含めて、その機構を検討した。症例は70歳女性で、仕事中に突然、右手が勝手に動くことを自覚し、脳梗塞の診断で救急病院に入院した。5日後に、精査とリハビリテーションのために当院に紹介された。患者は、右手の運動麻痺がないにもかかわらず、巧緻運動が高度に障害されており、特に、閉眼では全く不可能であった。同手の固有感覚は消失していた。脳MRIでは左中心後回に限局した脳梗塞が認められた。運動領域の病巣は見られなかった。手の運動をタスクとするfMRIを施行した。健手の運動では、対側感覚運動野、補足運動野、同側小脳などが正常に賦活された。患手の運動では、対側一次運動野が軽度に賦活される以外には活動が見られず、感覚運動ネットワークの活動は高度に低下していた。トラクトグラフィーによる錐体路の描出は正常であった。固有感覚障害は改善しなかったが、リハビリテーションにより、視覚系の補助を用いることにより、1年後までに、右手の機能は日常生活が自立するまでに回復した。本症例は、固有感覚が障害されると運動制御が高度に障害されることを示しており、運動制御には感覚系のフィードバックが重要であることを示す貴重な症例である。また、感覚系以外の入力を上手に用いることにより(本例の場合は視覚系)、運動制御の改善を得られることを示す貴重な症例である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記症例を症例報告として論文を作成し投稿した。
|
Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞後の片麻痺を有する患者で、fMRIとトラクトグラフィーを施行する症例を積み重ねて、さらに検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ごく少額なので調整しなかった。 次年度に使用する。
|