2013 Fiscal Year Research-status Report
傍脊柱筋へのボツリヌス毒素投与と夜間姿勢ケアによる重度脳性麻痺児の体幹変形改善
Project/Area Number |
25350619
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 春彦 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (30274062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 剛伸 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, 部長 (40360680)
岩崎 俊之 北里大学, 医学部, 講師 (70265627)
横山 美佐子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (70439149)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / ボツリヌス毒素 / 側弯 / 骨盤傾斜 / 定量的評価 |
Research Abstract |
本研究の最終ゴールはA型ボツリヌス毒素(BTX-A)に夜間姿勢ケアを併用し、重度脳性麻痺児に対する体幹変形(側弯、骨盤傾斜、股関節脱臼等)の改善を定量的評価で検証することである。平成25年度は体幹変形の定量的評価の信頼性と妥当姓の検証を目的とした。体幹変形評価は、肩峰、肋骨下端、上前腸骨棘といった体表から探れる骨ランドマークに基づき、体幹を上部胸郭、下部胸郭、骨盤の3部位に分け、それぞれの間の傾斜と回旋の角度で体幹の変形量を表す方法である。この方法の信頼性と妥当姓を検証するため、健常成人12名、および脳性麻痺を持つ成人20名を対象に次のような計測を行った。被験者をベッド上仰臥位にした後、左右の骨ランドマーク合計6点に球形反射マーカーを貼付し2台のカメラを同期して撮影した。このカメラ画像を元にランドマークの三次元座標を求め、上部体幹(左右肩峰のラインと左右肋骨下端のライン)の回旋と傾斜、下部体幹(左右肋骨下端のラインと左右上前腸骨棘のライン)の回旋と傾斜を算出した。各算出値について、検者内、検者間の信頼性係数を求めた。その結果、信頼性係数は検者内、検者間とも0.9以上と高い値を示した。健常成人の変形量は7度未満であり、算出された角度の誤差は検査者内、検者間とも平均2.4度であった。重度の脳性麻痺を持つ成人は、上部体幹と下部体幹の傾斜を合わせた角度の平均が13.4度、回旋が平均9.8度であった。また、運動機能が重症な者ほど、傾斜、回旋とも大きくなる傾向も見られた。健常成人では傾斜、回旋とも7度未満と変形がなく、脳性麻痺を持つ成人では障害が重度なほど傾斜、回旋といった変形量が大きいという妥当な結果が得られた。よって、本手法が体幹の変形量を表す評価法として信頼できるものであると結論した。今後はこの評価に用いて介入の効果を検証していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体幹変形を定量的に評価する手法について、健常成人、脳性麻痺を持つ成人で計測を行い、信頼性、妥当姓を検証できた。この新しい評価法の論文化が遅れていることが課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度から予定通り、ボツリヌス毒素治療に夜間姿勢ケアを併用した介入の効果を検証するため、ベースライン期(A)と介入期(B)からなABデザイン介入研究を実施する。対象は地域在住の坐位保持が困難な重度脳性麻痺児で、26年度は6名の登録を予定している。被験者には夜間姿勢ケアを実施する前に体幹変形評価を含む評価を行い、6ヶ月経過後に再び同じ評価を行う(ベースライン調査)。その後、外来にて傍脊柱筋へのボツリヌス毒素注入を行い、6ヶ月後に3度目の評価を行う(介入後評価)。27年度もベースライン調査と介入調査を継続し、10名の評価が終了した時点でその効果を統計学的に検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
評価システムの構築で、予定していたカメラより安価で高性能なもの市販されていたのを受け、これに変更して計画当初より費用が抑えられた。 夜間姿勢ケアシステムの導入は対象者によっては追加費用(姿勢を保持するパッドの追加など)が予測されるため、これに対処するための費用に充てる。
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Research Products
(3 results)