2014 Fiscal Year Research-status Report
実験的筋損傷後の筋再生過程における低出力パルス超音波療法の影響
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25350620
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
坂本 美喜 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (40365177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
只野 ちがや 東邦大学, 医学部, 講師 (40261094)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 物理療法 / 低出力パルス超音波療法 / 筋損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
低出力パルス超音波療法(LIPUS)は創傷治癒促進を目的とした治療法の1つである。骨折や腱損傷に対するLIPUSの治癒促進効果は報告されているが、筋損傷に対する効果に関しては一致した見解が得られていない。本研究ではマウス骨格筋に薬剤を用いた筋損傷を作成した後に2種類の照射条件でLIPUSを照射し、筋再生の過程を組織学的に解析した。 <方法> 実験動物はICR系雌マウス(12週齢)を用いて、①筋損傷群、②筋損傷+LIPUS(a)群、③筋損傷+LIPUS(b)群の3群にわけた。照射条件は、LIPUS(a)群では、周波数3 MHz、強度0.5 W/1平方cm、照射サイクル50%、照射時間10分とし、LIPUS(b) 群では、周波数1MHz, 強度0.6 W/平方cm, 照射サイクル50%、照射時間5分、とした。照射は、損傷後2時間経過後に1回照射し、2回目以降は1回/日の頻度で実施した。なお筋損傷群では、照射強度を0WにてLIPUS照射群と同様の操作を行った。損傷後7日に前脛骨筋を採取し、凍結横断切片を作成した。そして組織所見の観察および再生筋線維の横断面積を測定し、各群の平均筋線維横断面積と筋線維横断面積の分布をヒストグラムにて比較した。 <結果・考察>組織学的所見では、筋損傷群、LIPUS(a)群、LIPUS(b)群のすべてにおいて、再生線維である中心核線維が認められた。平均筋線維横断面積は、3群間に有意差は認められなかった。しかし、筋線維横断面積の分布をみると、LIPUS(a)群ではLIPUS(b)群と比較して、横断面積の大きい線維の割合が高い傾向にあった。このことから、LIPUSのエネルギー量を高く設定することで筋細胞への機械的な刺激が増加し、筋再生過程を促進した可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は照射条件を複数設定して組織学的に検討した。平均筋線維横断面積には著明な差は認められなかったが、LIPUSの照射エネルギーを高く設定した群において面積の大きい線維数が多い傾向がみとめられている。このことから、照射時間を延長する等の異なった照射条件を設定して検討することが必要であったと思われる。 また、今年度は形態学的な評価にとどまっており、LIPUSの有効性についてその作用機序を解析には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果をもとに、今後はLIPUS照射条件をより高く設定し、筋再生について検討する。観察時期については、現在は損傷7日目のみの観察のため、より早期の時期や14日、21日など再生が完成した時期についても検討する。また、形態学的な解析に加え、胎生型ミオシン重鎖の発現量や転写因子であるmyogenin の発現量について調査し、さらに成長を促進する因子についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、形態的な評価およびLIPUSの作用機序を解析する目的で計画を立案した。しかし、形態的評価の解析に時間を要したため、当初の予定に比較して抗体の使用量が少なく、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、形態学的評価に加え筋成熟度や転写因子の発現、成長因子の解析を実施する予定である。これらの解析のために動物および抗体を購入する費用として使用する。
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