2014 Fiscal Year Research-status Report
就労障害者の二次障害予防 -作業負担軽減事例の集積と予防マニュアルの作成-
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25350667
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
辻村 裕次 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40311724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 照代 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20293821)
白星 伸一 佛教大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20388698)
垰田 和史 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90236175)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳性麻痺 / 脳血管障害 / 標準型車いす / さおり織り / 座位姿勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
VDT作業を行う脳性麻痺を有する肢体不自由者2名に対し、モニター、キーボード、ポインティング機器の配置や上肢支持具の装備をそれぞれで試行した。共に操作感などに問題があり、良好な成果は得られていない。引き続き、作業環境改善に取り組んでいく。 脳血管障害による片麻痺を有し、標準型車いすでVDT作業を行う50代の障害者1名に対し、①自身でできる下腿の鬱血防止マッサージの指導、②座面中央部の下方への湾曲を解消する部材を座面に装着、③骨盤直立を支持するための腰椎支持部の装着を行った。座圧分布の左右非対称性が若干改善し、胸椎部の前彎傾向が緩和した。左右から中央への骨盤にかかる圧も軽減したと考えられる。 両手両足を使わなければならない「さおり織り」を行う、脳性麻痺を有する女性に対し、立体編構造のクッションを用い、座位改善を試みた。主観的評価と姿勢観察から改善されたと考えられるが、キャスターのない椅子であるため、本人だけで椅子を常に最適な位置にすることが困難であり、次年度には椅子本体を変更する予定とした。当作業は女性障害者に人気があり、同様の数多い障害者のためにも、身体負担の最小化は重要であり、有効な対策実施が求められる。 森永ヒ素ミルク被害者(現在50代後半)の救済機関「ひかり協会」が2013年度に二次障害予防を目的とした訪問調査を実施した。その調査事例の中からハイリスクと考えられた7名に対し、介入を行った。ある事例は、脳性麻痺を有する女性で、日常生活動作への助言、運動指導、電動車いすの座位調整を行った。40代から二次障害と考えられる自覚症状や身体機能の低下があったが、相談できる専門機関がなく、対応策を見出せない状況が長く続いていた。今回の介入で、生活場面に即した具体的な支援策を提供できた。二次障害リスクにさらされている、さらなる障害者の掘り起こしが不可欠である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
改善事例は全期間(3年)で15名の計画に対し、17名の介入が行え、数名を除いて介入効果も確認できた。ただし、一部に客観的評価を実施できていない被験者もいる。
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Strategy for Future Research Activity |
一部の対象者で二次障害リスクを改善できていないので、最終年度である平成27年の前半にそれらの事例について、改善を実現する予定である。そして、障害種別・年代・作業態様ごとで、実施した改善事例から、二次障害リスクと改善方策をまとめ、二次障害予防のためのマニュアル作成を行う。
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Causes of Carryover |
本研究成果の発表は、研究代表者と他機関研究分担者のみが行い、代表者と同一機関の研究分担者の国内旅費を使用する必要がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に行う事例介入において、作業環境改善に必要なクッションなどの消耗品に充てる。
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