2014 Fiscal Year Research-status Report
関節安定性に貢献する筋の機能的役割と制御機構の解明
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25350685
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大山 峰生 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10367427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 俊雄 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (40339974)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 上腕筋 / 方形回内筋 / 肘筋 / 筋電図 / 収縮特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
上腕筋からワイヤー電極により筋電図を導出するために,超音波画像,屍体解剖等により電極刺入部位を決定し,これらの筋の筋電図を測定するための計測システムを構築した.方形回内筋においては,すでに構築した計測システムを用いた. 上腕筋に関する実験では,健常男性6名を対象とし,肘関節屈曲運動課題とpush off課題における上腕筋の浅頭,深頭の活動特性を筋電図学的に検討した.その結果,浅頭と深頭の活動はともにpush off課題に比べ屈曲運動課題で高かった.また屈曲運動課題では,浅頭と深頭ともに屈曲力の増大にともなって直線的に増加し,各頭間で有意差は認なかった.push off課題での深頭の活動はpush off力の増加とともに直線的に増え,最大push off力に達した時には最大活動の25 %に達し,浅頭の活動を有意に上回った(P <0.05).以上のことより,浅頭と深頭の主機能は肘関節の屈曲機能であるが,深頭においては肘関節の伸展運動を伴うpush off課題で活動が高まったという結果に加え,肘関節の前方支持組織に幅広く密接に付着するという解剖学的特徴を考慮すると,深頭は肘関節の伸展制動に貢献する筋である可能性が高いと考えた. 方形回内筋においては,健常成人6名を対象とし,体幹を傾斜させ倒れた時における手掌接地前後の方形回内筋深頭と円回内筋の活動を導出し,その機能を比較検討した.その結果,PQDHの活動は接地前約500msecから出現し,接地前100msecでは最大前腕回内運動時の約40%の筋活動を認めた.接地後500msecでは,約10%の活動であった.一方, PTの活動は,接地前約100msecから出現し,20%程度の活動に留まった.今回示したPQDHのPTと異なる独立した活動は,回内運動の収縮ではなく,遠位橈尺関節の動的支持機能としての役割を担う可能性を示していると考えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度に計画していた経頭蓋磁気刺激(TMS)用の頭部固定装置の作成,TMS による誘発電位波測定システムの構築に時間を要しているも,概ね順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
25,26年度に解明した方形回内筋,肘筋,上腕筋の収縮特性を踏まえ,これらの筋の皮質脊髄路細胞の興奮性が変化するかを確認する.解析されたデータから,これらの筋の中枢関節安定性に関する運動制御機構を検討する.
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Causes of Carryover |
筋電図センサーが予定価格より,僅かに安く購入可能であった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度にまた同機材を購入予定であり,それに充てる予定である.
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