2013 Fiscal Year Research-status Report
聴覚障害・構音障害児童のためのオンライン型発音指導支援システムの構築
Project/Area Number |
25350692
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
勝瀬 郁代 近畿大学, 工学部, 講師 (20373540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 君男 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90187518)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 言語通級学級 / 発音指導 / 音声認識 / 支援システム / 構音障害 / 聴覚障害 / 言語障害 / 医工教連携 |
Research Abstract |
○発音練習ソフトウェアの音声評価の精度を向上させるため次の項目を実施した。①児童の音声の収集およびデータベース化を行った。②このデータベースを用い、自動音声認識の音響モデルを再学習した。③音韻識別処理として、新たな手法を提案しシステムへ導入した。 ○発音練習ソフトウェアのユーザインタフェースを改良するため次の項目を実施した。①音圧レベルベータを表示し、児童が音量に注意して発声できるようにした。②これまで出題単語の表示はひらがなのみであったが、カタカナ・漢字での表示も可能にした。 ○オフライン型システムの実施試験 実地試験は、通級学級と聴覚特別支援学校の2種類の教育形態で行われた。①福岡県下小学校4校の言語通級学級に通う児童9名を対象に、通級学級と家庭の両方で継続的にシステムを用いた発音練習を行った。期間は11月から2月までの3~4ヶ月間。システム導入前後の保護者と指導者に対するアンケート調査、使用履歴の記録、構音検査用音声の収録を行った。②聴覚特別支援学校2校(計9学級)を対象とし、学校において本システムを発音練習教材として活用した。人工内耳装用児や重度聴覚障害児が使用する上での効果や課題を確認した。 ○システム運用における各機関の連携体制の確認 実施試験では、教育機関・医療福祉機関・地域ボランティアの連携がうまく行われることが確認された。試験実施校の窓口は、研究協力者である福岡県教育センター小山博幸指導主事が担当した。システムの整備と使用履歴の分析は研究代表者である近畿大学勝瀬郁代講師が行った。アンケート調査は研究分担者である九州大学白石君男教授とリサーチアシスタントが担当した。音声の構音検査は、国際医療福祉大学平島ユイ子講師が担当した。各学校や家庭に対する技術的な支援は、九州工業大学が認定した情報教育支援士3名が、のべ70日にわたりその役割を果した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に計画されていた項目は以下のとおりである。初年度から実地試験を行うことができたため、各項目とも、実際にシステムを運用する中で、現場の声を反映させながら検討することができた。 ① システムの改良・拡張 ⇒ 音声評価性能、ユーザインタフェースに関しては多くの改良が行われた。クライアント・サーバ方式への拡張については、今年度はまず、ネットワーク環境のない通級学級や家庭での通信確保について検討し、WIMAXルータを使用して通信を確保することにした。 ② 医療福祉機関と教育機関が共有すべき情報の形をまとめる ⇒ 学校側からは、専門家による音声評価を求める声が高かった。そこで、システムに記録された児童の音声に対し言語聴覚士が行った構音検査結果をフィードバックする仕組みを確立し、実際に実施した。 ③ システム評価方法の検討 ⇒ 評価のためのデータの取得が、児童や指導者の負担にならないよう、できるだけ自動的にシステムに記録できるデータを用いての評価が望ましい。初年度は、データを記録するとともに、システム活用前後で、指導者と保護者によるアンケートを行い、評価方法の検討を行った。 ④ 地域のボランティアによる技術サポート ⇒ 情報教育支援士の資格をもつ3名の地域ボランティアが、のべ70日にわたり、実地試験実施校にて、技術的なサポートを行った。 以上のことから、平成25年度の目標は概ね達成したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
1平成26年度の研究計画は以下のとおりである。概ね、当初の研究計画にそって実施する予定である。 ①システムの改良・拡張:初年度の実地試験によって明らかになった現場の要望に基づき、ユーザインタフェースの改善を行う。また、引き続き、機械による音声評価の精度向上を図る。さらに、オンラインシステムへの拡張を行う。 ②医工教連携の強化:練習記録や構音検査結果を教育機関にフィードバックするだけでなく、これらの結果に基づいて判断された医療福祉の専門家による助言を教育機関にフィードバックできる仕組みを確立する。 ③評価方法の検討:システム改善のためのアンケート調査は行えているが、さらに、システムの有効性を客観的に評価するための指標について検討する。 ④上記システムの改良等を行った上で、2度目の実地試験を行う。
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Research Products
(3 results)