2014 Fiscal Year Research-status Report
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25350698
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
深谷 直樹 東京都立産業技術高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80353259)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ロボットハンド / 筋電義手 / ヒューマノイドハンド / 柔軟物把持 / 日常生活動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に基づき、以下の2点を実行した。 1)、ハンドのリンク機構等について正式モデルを構築した。人間らしい外装について、まずは目的とする機能、形状、摩擦係数、柔軟性が得られるかについて実験、改良を行った。この結果、超軟質ウレタン樹脂を用いて厚さ1.6mmで構築することで、上記性質をキープしつつ繰り返し試験に耐える耐久性が得られることが分かり、この条件に外装を改良し採用することとした。また内部構成については内包可能な形状を実現するために、指のモデルを3DCADを用いて設計、シミュレーションした後、実際に作成し外装内に設置した。結果、目的通りに柔軟な動作を実現出来た一方、内部フレームが直接外装と接触するため柔軟性に乏しく、人の肉に相当する緩衝材を開発する必要性が明らかとなった。 2)筋電位等による制御回路の構築について、市販化を念頭に汎用性が高いシステムによる構築を検討した。このため数千円程度で入手可能なAVRマイコンを採用すると共に、湿式・乾式電極双方で動作可能な筋電位増幅回路を1万円程度で構築することとした。さらにこれらをBluetoothによる無線接続とすることとした。これは筋電義手で問題となる、義手本体の重量を軽減することが目的である。主たる制御回路を無線で切り離し、体幹など装着者の重心に近い箇所に配置することで装着時の重量による負担を大幅に軽減することを目的としている。無線通信での動作解析システムを構築し情報を取得して開発を行った。この結果、いくつかの専用の操作パターンを与えることで、ボールや包丁など日常生活に存在する様々な道具のみならず、シュークリームなどの柔軟物の把持を実現する無線操作式筋電位制御装置の構築に至った。一方で、接点のずれによる誤動作が散見されるため、これらを解消するための制御手法に課題を残した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、本年度は2つの項目を実現項目として挙げており、その2点双方について十分な成果が得られたため。 1点目については、人間らしい形状を実現しつつ、十分な耐久性と摩擦力を有し、かつハンドの動作を妨げない柔軟性に富む外装を構築するための要点を把握すると共に、この外装に適した内部フレームの設計を実施し、実際に挿入試験を行って外装を装着した形の実現性を確認したことから、十分な成果が得られた物と判断した。 2点目については、当初の計画通り筋電位を無線で取得するシステムを市販化を見据えて安価に構築するための設計を行い、実際に構築しハンドの制御に必要な筋電信号を取得出来たと共に、この信号を解析して本研究のハンドに適したハンドの制御手法を開発することによって、ボールや包丁など日常生活に存在する様々な道具のみならず、シュークリームなどの柔軟物の把持を実現したため。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね研究計画通りに進行しているため、次年度は生活環境下での動作試験を中心に実施する。この動作試験を通じて外装、内部フレームそれぞれの改良を重ね、目的とする動作を実現可能なハンドの構築を実施する。既に本年度の課題として、内部フレームが直接外装と接触するため柔軟性に乏しく、人の肉に相当する緩衝材を開発する必要性が挙げられているため、これを含め改良を行い、目的とする性能を実現する。 もし上記目標が次年度中盤で実現できた場合は、申請書以上の伸展を狙って研究の市販化をイメージ可能な設計にも着手する。現状のハンドのフレームはアルミ合金を用いたハンドメイドであるため、加工コスト、組み立てコストの面で不利であり、これが一般企業が販売をためらう要因ともなり得る。このため、今年度得られた設計の要点を踏まえ3Dプリンタ等で容易に構築可能な設計への展開を試みる。
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Causes of Carryover |
計画当初発表候補としていた国際会議の一つが次年度4月に開催されることが判明し、エントリーし査読を受けた結果、無事アクセプトされた。このため、国際会議への参加旅費を次年度に繰り越す事としたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り、主として次年度4月に開催される国際会議への参加費、旅費として使用する。既にこの会議の査読は通過しており、ペーパーも受諾済みである。
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