2013 Fiscal Year Research-status Report
マウナケア山頂における作業者の健康管理のための小型高機能行動記録装置の開発
Project/Area Number |
25350700
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
瀧浦 晃基 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (60375194)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 行動記録 / 身体活動度 / 生体情報 / 環境情報 / 高山病 |
Research Abstract |
本研究では,3 軸加速度計・3 軸ジャイロ・GPS(全地球測位システム)によって得られる被験者の身体活動情報に加え,動脈血酸素飽和度・心拍数・呼吸数等の生体情報,さらに気温・湿度・気圧等の作業環境情報を同時に記録する小型高機能行動記録装置を開発することを目的とする.開発中の行動記録装置は,標高4200メートルのマウナケア山頂に設置されているすばる望遠鏡の山頂作業者の健康管理に応用することを目標としている. 本研究で開発する行動記録装置が扱う情報には,身体活動情報・作業環境情報・生体情報の三種類がある.平成25年度は,これらの情報を取得するための測定手段を調査し,動作確認用の試作回路の製作を通して,集積回路センサーの選定と電子回路の最適化を進めた. 身体活動情報の取得については,3次元加速度計,3軸ジャイロ,およびGPS受信機の調査と選定を進めた.また,作業環境情報の取得については,温湿度センサーおよび大気圧センサーの調査選定を進めた.選定された集積回路センサーについては,試験用電子回路を作成し,性能評価を実施した.身体活動情報と作業環境情報を得るための各種センサーについては,ほぼ目標性能を満たすセンサーを選定することができた. 生体情報については,動脈血酸素飽和度と脈拍数の測定に対して,パルスオキシメーターの原理を用いることとした.平成25年度は,測定プローブの装着部位の違いによる,作業性と取得データの安定性の評価をマウナケア山頂において実施した.指先プローブは手作業の妨げになることが明らかとなった.また,指先プローブと耳介プローブでは,特に低温時に,動脈血酸素飽和度を正しく測定できないことが経験された.これは,気温低下時の抹消循環不全が影響しているものと考えられた.この結果を受けて,今後は額に装着する反射型のパルスオキシメーター・プローブの開発を進めて行くこととした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
身体活動情報と作業環境情報を得るための集積回路センサーの選定と性能評価が順調に進んだ.これら二種類の情報を同時記録する装置については,その試作が予定を前倒しして進捗している.生体情報の取得機能の開発については,市販のパルスオキシメーターを利用した,プローブ装着部位の評価検討にとどまっている.額に装着するパルスオキシメーター・プローブの開発は平成26年度から本格化する見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進捗している身体活動情報と作業環境情報の記録機能の開発については,二つの機能を統合した試作装置を作成し,小型軽量化を目指した改良を加えていく.生体情報の取得については,平成26年度内に,単独で機能する記録装置の作成を目指す.また,すばる望遠鏡では,低温環境のため,防寒対策を施した上で,指先の細かい作業や肉体労働を行っている.ヘルメットや携帯用酸素ボンベも装着し,さらに開発中の行動記録装置を安全かつ作業の妨げにならないように身に付けるには,被服学的観点からも検討を加える必要がある.そこで本研究では,平成26年度から,被服学を専門とする菅井清美氏(新潟県立大学,教授)を新たな連携研究者として追加し,研究を精力的に進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に実施した連携研究者によるマウナケア山頂における測定実験が,燃油サーチャージの高騰が予想よりも穏やかで,当初の予定より少額の渡米費用で遂行できたため,未使用額が発生した. 次年度使用額については,計画を前倒しして進捗している部分があるため,研究の更なる加速のために,電子回路の試作回数を増やすことに使用する予定である.
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