2014 Fiscal Year Research-status Report
高頻度の感覚刺激による下肢皮膚反射の可塑的変化とその応用
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25350701
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小宮山 伴与志 千葉大学, 教育学部, 教授 (70215408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歩行運動 / 皮膚反射 / 部位依存性 / 歩行周期依存性 / ヒト |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究目標は、異なる足底部位に対する電気刺激によって誘発される前脛骨筋の皮膚反射が、歩行運動の周期に応じてどの様に修飾されるかを解明することであった。被験者は、神経学的疾患のない健康な成人15名であり、倫理委員会の承認を得るとともに、被験者に事前に実験の目的と方法を十分に説明し、実験参加の同意を得た。筋電図は、右側前脛骨筋から双極表面誘導法により導出し、生体アンプにて1000倍に増幅した。被験者は、トレッドミル上で4Km/h の速度で歩行運動行うように教示された。歩行運動中、足底前方内側部(f-M)、足底前方外側部(f-L)、踵部(HL)の3領域に対して1.5-3 秒のランダムな時間間隔で電気刺激を行った(感覚閾値の2-2.5 倍、5 発刺激,300Hz)。各被験者は、1 刺激部位を1 課題として、3 回の歩行実験を行った。実験終了後、自作のプログラムにて、1 歩行周期を16 分割し、それぞれの周期で得られた刺激を全て加算平均し、各歩行周期にける反射筋電図を算出し分析した。 結果として、f-Mおよびf-L刺激時において得られてた皮膚反射には、遊脚相で前脛骨筋に促通が観察され、f-M刺激時の促通効果がf-Lに比して大きかった。一方、これとは逆に、HL刺激では遊脚相で抑制が観察され、とくに遊脚相後半で非常に強い抑制効果が観察された。 これらの研究結果から、足底部の低域値皮膚感覚受容器由来の皮膚反射は、強い刺激部位依存性と歩行周期依存性を示すことが明らかになった。各足底皮膚反射の動態は、それぞれ足底の異なる部位に外乱が加えられた際、円滑な歩行運動を継続するための機能的な意義を有すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、「研究実績の概要」に記載した足底各部位の独立した電気刺激による皮膚反射の修飾動態に関する研究成果に加え、脛骨神経刺激を組み合わせる自県を行った。その結果、遊脚相前半では、主に足底前方の皮膚感覚情報が前脛骨筋に促通性の皮膚反射を誘発し、一方遊脚相後半では踵部の情報が選択的に取り込まれて、前脛骨筋に抑制性の皮膚反射を引き起こしていることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成25年及び26年度の研究成果を踏まえ、歩行運動時の異なる周期に異なる足底領域に高頻度の電気刺激を加えることにより、足底部位特異的な皮膚反射による歩行運動の可塑的変化が引き起こすことが可能か否かについて解明することである。
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Research Products
(12 results)