2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350708
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小澤 治夫 東海大学, 体育学部, 教授 (60360963)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘモグロビン / 生活習慣 / 不定愁訴 / 中学生 / アクティブライフ |
Research Abstract |
近年、子どもの体力や学力あるいは意欲の低下が指摘されているが、その背景には、単に運動習慣や学習習慣の変化だけでなく生活習慣の変化があり、これらが影響して不定愁訴や貧血の増加など健康の悪化を惹起せしめていることが考えられる。ところが、こうしたことに学校間格差が見られ、特に高校になると大きくなっていることを我々はこれまでの研究で明らかにしてきた。そこで本研究は、高校の前段階として中学生期がいかなる状況にあるかを明らかにし、小学校から高校を見通した生活習慣・運動習慣を確立し、健康的で活力のある生活(以下、アクティブライフ)を構築するための方策を立てることを目的として実施した。 これまでの高校生を対象としたヘモグロビン推定値の調査結果から、貧血傾向の生徒の割合において学校間の差は大きい。この差は中学生段階で次第に拡大してくると考えられるが、中学生を対象とした同種の調査研究は十分に行われているとは言い難い。そこで本調査研究では、25年度調査研究においては、神奈川・東京・千葉・山形の1都3県、全13校の生徒計5,182名を対象として生活実態(起床・就寝時間、朝食摂取状況、排便、入浴、学習時間、運動時間、携帯電話、テレビ・ゲーム時間ほか)に関する調査、非観血的方法によるヘモグロビン推定値の測定などを実施した。また対象校から選定された研究重点校(300人の生徒)については体力測定・歩数測定、生活リズム向上の取り組みを実施し、「中学生のアクティブライフ構築」を課題として取り組みを進めた。 その結果、①高校生に比べ中学生では貧血傾向の生徒の割合は低いが、中学1年生から中学3年生まで学年進行とともに基準値を下回る生徒の割合は漸増していた、②13校間でHb推定値の平均値に差が見られた、③Hb推定値に関するこうした結果と生活習慣とは相関性が見られた、などが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、全国各地の中学約15校、生徒数約5,000名を対象として測定・調査を実施する予定であった。当初計画より学校数は13校とやや少なかったが、これまで調査された生活習慣や健康状態、ヘモグロビン推定値のデータ総数は5,182名であり、ほぼ予定通り研究は進展している。ただし、当初調査を予定していた学校が職員体制の変化などにより調査が不可能になったり、一方、学校から調査を依頼されたりしたケースもあり、調査対象校は当初の予定より変更となった。また当初、歩数の調査も行う予定であったが、科研費確定の後直ちに歩数計の発注を行ったが納入時期が大きく遅れたために歩数の調査は当初予定の500名測定を下回る260名にとどまった。25年度の活動により、平成26年度対象校の協力体制は構築されており、平成26年4月より計画通りに測定がされる予定である。 なお、以上データの分析はほぼ90%終了し、まとめられたこれらのデータは東海大学医科学研究雑誌論文として掲載された。また平成26年度日本体育学会においても研究発表を行う予定であり、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の調査対象校の中で、本研究と連携の希望のある学校に対して平成26年4月~平成27年3月にかけて生活リズム向上のための種々の展開を行う。実施内容は、継続的な調査(生活・健康に関するアンケート調査、ヘモグロビン測定など)、啓蒙活動としての講演会、保健学習及び保健指導の実施、食育推進委員会、Health Quality Control Sheet(HQCシート)の活用などを予定している。また、歩数調査が25年度はやや不足していたので、歩数調査の実施を重点的に行う予定である。体力向上のために、イベント化された新体力テストの実施を行い、 体力測定ビデオの制作、体力測定用具キットの制作も行う。さらに、運動量確保を目指したゴール型球技の下位教材を開発しその効果についても検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に予定していた山形県調査において、山形県教育委員会の協力を得て実施したために交通費が節約でき、約27万円程度26年度に繰り越すこととなった。 下位教材開発用の材料費、分析助手謝金、新たな調査校の交通費等に充当する予定である。
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