2014 Fiscal Year Research-status Report
幼児の刺激反応評価に関する新テスト開発及び危険回避能力育成に有効な運動遊びの提案
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25350710
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
横谷 智久 福井工業大学, 工学部, 教授 (40610572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 雄慶 福井工業大学, 工学部, 准教授 (50610581)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幼児 / ジャンケン / 発育発達 / 選択反応時間 / 運動能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度においては、検討課題Ⅰの未解決課題と研究課題Ⅱ「幼児のSJP能力と運動時間や運動能力との関係」の検証を中心に研究活動を実施した。 検討課題Ⅰで未解決とされていた単純反応時間と今回の選択反応時間(あいこ条件)の結果の関係について検討した。健常な5歳女児12名(年齢5.12±0.21歳)を対象に、画面上に提示された「グー、チョキ、パー」の図柄と同じ「あいこ」の図を選択する選択反応時間と、画面上に提示された図柄に関係なく図の提示と共にボタンを押すまでの単純反応時間を計測し、両者の相関係数を算出した。その結果、有意に高い相関(r=0.95)が認められた。あいこ条件は、3つの中から1つの正解を選択する過程を含むことから、単純反応時間よりも難易度が高く、タイムは遅れるものの、両者の関係は非常に高く、同じ能力が反映されていることが推測された。 次に、検討課題Ⅱとして、幼児における選択反応時間と運動能力の関係について、健常な幼児4-6歳児156名(男児75名,女児81名)を対象に、選択反応時間(あいこ,勝ち,負け)と運動能力の関係を検討した。あいこ,勝ち,負け条件をそれぞれ5試行ずつ実施し、最高および最低値を除いた3試行の平均値を評価変数とした。運動能力テストは、7種目(握力,立幅跳び,ソフトボール投げ,25m走,反復横跳び,体支持持続時間,長座体前屈)それぞれ1試行ずつ実施し、評価変数には各測定値のT得点を用いた。解析には年齢を共変量とした偏相関係数を算出した。各種選択反応時間と運動能力の間に有意な関係が認められた(あいこ:r=-0.30,勝ち:r=-0.30,負け:r=-0.16;p<0.05)。これらの選択反応時間は、運動能力と密接に関係していると考えられる。一方で、運動時間との関係についてもアンケート調査の結果などを利用して検討したが、明確な関係は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度計画していた幼児のSJP能力と運動時間や運動能力との関係(研究課題Ⅱ)については、被験者数が若干少ないものの、成果報告も含め、当初の予定通り順調に進んでいる。サンプルサイズの拡大や、新たに検討すべき内容(それぞれの選択反応時間と7種目ごとの運動能力の関係)については、次年度以降、共同研究者や測定依頼先の機関と連携を取りながら対応していくことで十分解決が可能であり、研究計画全体の遂行には支障はないと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、幼児における選択反応時間と特に関係の高い運動能力の要素を明らかにし、それらの運動能力が関連する運動遊びを提案することで、幼児の危険回避能力育成を目指す。つまり、これまでの研究成果を踏まえた上で、幼児の選択反応時間の育成に繋がる運動遊びの様式を検討するのが最終年度を向かえる本年度の目標である。
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Causes of Carryover |
本年度は、検討課題Ⅱのデータ収集に関わる経費を主に予算として計上していたが、これまで、予備実験の結果を踏まえ、測定器の機能・種類等の見直しをはかり、開発費の削減を行ってきたこと、また、測定依頼先機関の協力により測定の効率化が行われたことによって、謝金等の面で当初の予定額よりも経費が削減できた。さらに、初年度予定していた、幼児の運動遊びに利用しようと考えていた移動型小型信号機の製作を中止し、平成26年度までの研究結果を踏まえ、次年度に新たな危険回避能力の育成に有効な運動遊びの用具を購入する計画であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
検討課題Ⅱにおいて、幼児の選択反応時間と7種目の運動能力との関係の検証など、新たに浮かび上がった課題の解決や、さらなるサンプルサイズの拡大のために必要となる測定器や消耗品の購入等の経費にあてる。また、上述した通り、新たな危険回避能力に有効な運動遊びの用具を購入するための経費や平成26年度のデータを利用した論文作成にかかわる投稿費用や英文校正費用についても必要となるため、次年度の予算と合わせて、計画的に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)