2015 Fiscal Year Annual Research Report
肢体不自由児の生活・学習活動の改善に資する視線活動分析
Project/Area Number |
25350711
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 健治 名古屋学院大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70336105)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肢体不自由児 / 眼球運動 / アイカメラ / 見る力 / 目と指の協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,脳性麻痺による肢体不自由児の「見る力」改善方策の開発を視野に入れながら,肢体不自由児の眼球運動の特徴を明らかにすることを目的とした.実験には,nac社製アイカメラEMR-9アイカメラ(撮影周波数は60Hz,測定範囲の角度は水平±62 deg,垂直±20 deg,分解能は0.1 deg)を用いた. 被験者は車いすに座ったままあご台にあごを載せ,眼前60 cmに設置されたコンピュータモニタに正対した.この状態でキャリブレーションを行い,NSUCOの眼球運動テストをベースにプログラミングしたコンピュータモニタ上の視標(直径1 cmの円形)を以下のような条件で追視した.①固視:モニタ中央で停止した円形視標を約20秒間注視.②サッカード:3 s間隔で,左右30 cm間隔をジャンプする円形視標の追視.③パスート:直径27cmの円周を50 deg/sで移動する視標の追視.④指さしサッカード:②と同じ視標を,利き側の指で指さしながら追視.⑤指さしパスート:③と同じ視標を,利き側の指で指さしながら追視.これらの結果,固視において眼振が認められた被験者は,サッカードの眼球運動が不全であった.斜視がある場合,例えば左から右にジャンプする視標を追視するとき,左眼から右眼にスイッチして視標を追視する眼球運動が報告されているが,本研究ではそのような運動は確認できなかった.一方,指さしを実行することでサッカードが好転することが確認された.また,指さしながらパスートを行わせると,追視速度が大きくなるなど,眼球の追跡能力が高まることが報告されているが,本研究では,サッカードにおいても指さしの効果は確認された(潜時が短縮,ピーク速度が増大).ただし,逆に潜時が延伸する例もあったことから,指さしの運動能力が不十分であれば,眼球運動にマイナスの影響が出るのではないかと考えられた.
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Research Products
(4 results)