2014 Fiscal Year Research-status Report
体育・スポーツ指導者養成における代行分析能力の養成方法の構築
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25350715
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 剛 筑波大学, 体育系, 准教授 (60341707)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 代行分析能力 / 発生論的運動学 / 指導力 / 動感志向性 / 身体知 / 発生分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は平成25年度~27年度の間で行われる。研究の最終目標は体育・スポーツ指導者の専門的指導力の一つである「代行分析能力」の養成方法論構築に向けた基礎資料を得ることにある。 平成26年度は、当初の研究実施計画にしたがって、大学生を被験者とした代行分析能力の養成実習を行い、その結果とプロセスに検討を加えることで、この能力の養成に有効な指導経験を明らかにしようと研究を開始した。 しかし研究を進める中で、この代行分析能力の構造をより詳細に明らかにする必要のあることが分かった。そしてそのためには、そうした能力を有するベテラン指導者の発生分析、なかでも様相化分析に関わる能力を解明する必要性のあることが浮かび上がってきた。 そこで26年度は、この追加の研究課題を踏まえて、代行分析能力の構造解明の一環として、ベテラン指導者の発生分析的研究を追加的に実施することにした。具体的には、ベテラン指導者による大学1年生に対する器械運動の倒立の指導実践事例を取り上げ、発生論的運動学の立場から超越論的な反省分析を実施した。これにより、ベテラン指導者の発生分析に関する能力性の特徴を浮き彫りにするとともに、実際の指導実践においてどのように代行分析が展開されているのかということについてその具体的な内容を明らかにすることができた。 なお、こうした追加の研究において、ベテラン指導者が実際の指導実践において「どのようなかたちで代行分析を展開しているのか」を明らかにできたことによって、当初26年度の研究計画で予定していた大学生を被験者とした研究で明らかにしようとしていた〈代行分析能力の向上をもたらすきっかけとなる指導経験〉がどのようなものであるのかということも同時に明らかにすることができた。この研究成果は、この能力の養成方法論やテスト方法の研究開発にとって、非常に重要な内容を含んでいると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でもすでに記載したように、平成26年度は、研究実施計画に含まれていなかった追加の課題に対する研究を取り上げる必要性が浮かび上がってきた。そのため、当初は、大幅な研究計画の遅れが予想された。しかし、幸いなことに、追加で行われたベテラン指導者の発生分析能力に関する研究の成果が、当初26年度に予定していた大学生を被験者とした研究で明らかにしようとしていた研究課題の解決をももたらす結果となった。こうしたことから、当初の研究実施計画から大幅に遅れることなく、年度内に最低限度の研究成果を出すことができたと自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究計画に一部変更を余儀なくされたが、すでに「現在までの達成度」においても述べたように、当初の研究課題の解決に関してはおおむね順調に進んでいると言える。しかしながら、今後の研究において、さらに追加の研究の必要性が出てくる可能性も否定できない。したがって、平成27年度の研究を開始するにあたっては、当初の研究実施計画について再度見直しを行い、年度の途中においてはその進捗状況をこまめにチェックするなど、大幅な計画の遅れが発生しないように十分留意する。 とりわけ、平成27年度は研究実施計画の最終年度であり、研究の成果をまとめて、公表する時期でもある。そのため、年度の早い段階から研究を開始することで、その成果をとりまとめるための十分な時間を確保できるようにしたい。また、そのように早期から研究を開始することは、研究を進める上で何らかの障碍が生じたときに、研究計画の変更や被験者の変更などといった緊急の対応に必要な時間を確保することにもつながると考える。 以上のような方策によって、研究実施計画をすみやかに進めることが可能だと考えている。
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Research Products
(1 results)