2013 Fiscal Year Research-status Report
附属小学校との連携によるフェアプレイの般化を促進する体育授業の構築
Project/Area Number |
25350724
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
上野 耕平 鳥取大学, 大学教育支援機構教育, 准教授 (20311087)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鬼ごっこ / 援助行動 / 向社会的行動 / 自己効力感 / スポーツマンシップ / 体育 / フェアプレイ / なかま鬼 |
Research Abstract |
「附属小学校との連携によるフェアプレイの般化を促進する体育授業の構築」という目標の達成に向けて,本年度は,フェアプレイに注目した運動あそびについて予備的実践を行うと共に,評価方法について探索することを研究課題とした。 まず運動あそびの予備的実践に関して,本研究者が所属する大学の附属小学校に通う2・3年生児童のなかから希望者を募り,5月~7月及び10月~12月(各期24名ずつ)の2回にわたり,毎週水曜日に運動あそびを含む「キッズスポーツアンドスタディサポート」と称する活動を実践した。本年はヘリソンの責任学習理論(2002)で用いられるスポーツマンシップレベル表を援用し,児童らに「ルールや友だちを大切にできる」,「自分のことは自分でできる」,「人をたすけることができる」などのフェアプレイに注目した活動を実施した。その結果,児童は自らのレベルを自己評価することにより,過去の活動よりも積極的に取り組む様子が窺えた。また,活動のなかで他者を助けることに注目した鬼ごっこ(なかま鬼)を独自に開発した。来年度以降は「なかま鬼」を実施することによる効果について他方面から検討する予定である。 次に評価方法に関して,本年度は「なかま鬼」などの実践が,「仲間を助けることに関する効力の予期」に及ぼす影響を測定できる心理尺度(援助行動に関する自己効力感尺度)を作成する目的で,附属小学校に通う2・3・4年生児童約200名を対象として調査を実施した。その結果,児童の援助行動に関する自己効力感(援助できるであろうという効力の予期)を測定可能な10項目からなる心理尺度を開発し,尺度の信頼性及び妥当性についても確認した。本尺度は来年度以降の活動の評価に役立てる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画については予定していた実践や調査を実施できたことから,おおむね順調に推移したと言える。 キッズスポーツアンドスタディサポートについては本研究者が継続的に実施してきた活動であり,活動の立ち上げに関する手続きがなかったことが奏功したと考えられる。 また評価方法の検討に際しては,附属小学校との連携が好影響を及ぼしたと考えられる。附属小学校は大学に併設されていることから,保護者と学校の間に大学による研究活動への協力に関する包括的な取り決めがある。今回の調査実施に際しても,こうした大学と附属小学校との連携が,非常にスムーズな調査の実施に繋がったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度については予定通り,「フェアプレイに注目した運動あそびの実践及び評価の試行的実施」を目的として研究活動を継続する。 本年度の運動あそびの実践に関しては,2年生児童において「なかま鬼」のあそび方の理解に当初予想していたよりも時間を要したことから,一緒に実施する人数や広さを変えるなど試行錯誤を重ねている状況にある。最終的には毎回の体育授業におけるウォーミングアップメニューの一つとしての実施を想定しており,より簡易に,また楽しく実施できる鬼ごっことなるよう平成26年度も引き続き実施方法を検討する。 運動あそびの評価に関しては,本年度作成した「児童用援助行動自己効力感尺度」を用いる予定である。また同時に,活動中だけでなく,学校生活や家庭,地域における援助行動(家でのお手伝い,困っている友だちに声を掛けるなど)についても,調査する予定である。「なかま鬼」への参加を通じて「自分にも友だちや先生を助けることができる」という感覚を促進することができるのかどうか,またそうした感覚が,学校生活や家庭での援助行動の増加に結びつくのかどうか確認する。そして本尺度による評価結果をもとに,活動内容について再度検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究活動は,フェアプレイに注目した運動あそびの開発が主であったことから,その開発に必要な資料収集・分析等が主となった。従って,研究発表等による成果の公表は「教員免許状の更新講習」や少年スポーツ指導者を対象とした講習会における,講習の資料として利用したに止まった。また,調査データの入力・分析担当として学生アルバイトの謝金を用意していたが,本研究者が自らその役割を果たしたことから,アルバイト謝金が少額に留まり,未使用額が生じた。 来年度は今年度のデータと来年度収集予定のデータに基づき,学会等で研究成果を発表する予定であり,本年度の未使用額については,来年度行う成果発表に使用する予定である。
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