2014 Fiscal Year Research-status Report
子どもの死の認識と自尊感情を育む教育プログラムの開発
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25350735
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Research Institution | Sanyo Gakuen University |
Principal Investigator |
近藤 卓 山陽学園大学, 総合人間学部, 教授 (60266450)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 基本的自尊感情 / いのちの教育 / 死の認識 / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
初等中等教育の学校現場においては、益々児童・生徒の諸問題についての対応の困難さが際立ってきている。いじめや不登校などの学校内での問題だけにとどまらず、近年においては深刻な被害をもたらす少年犯罪や非行行動などが社会問題化している。そうした問題に対して「いのちの教育」の必要性が益々高まっており、個々の子どもを見た場合に自尊感情の低さが浮き彫りになってきている。 ただ、自尊感情についての理解は相変わらず旧来のままにとどまっており、ほめたり認めたり成功体験を積ませることで高まると、教育現場では考えられている。したがってそうした対応が引き続き行われており、逆に自己中心的で自分勝手なわがままな児童・生徒が生まれる要因ともなっている。そこで、本研究では近藤が提示した自尊感情の理論(自尊感情を基本的自尊感情と社会的自尊感情の2領域で考える)を教育現場に適用し、調査データを積むと同時に、教諭らと共同で介入研究を実施している。 平成25年度には、信越地方と中国地方の公立中学校において介入研究を実施した。中学2年生のそれぞれ2クラスと4クラスにおいて、実験群と対照群を設定し、事前テスト・事後テストおよび1か月後の追跡テストで授業の効果を測定評価した。これらの結果についてはすでに日本学校メンタルヘルス学会第17回大会(東京・帝京大学)において発表した。また、平成26年度にはこれらの成果を、研究代表者の近藤卓が編著者として出版した『基本的自尊感情を育むいのちの教育』(金子書房、2014年4月)において発表した。さらには、日本学校メンタルヘルス学会第18回大会(神戸・兵庫教育大学)において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画を若干変更し、すでに調査を遂行中の少数の中学校を対象として、より質的な情報を収集しつつ、また任意の学校に調査対象を求めて量的にも補う方策とした。当初の計画では、全国の小・中・高等学校から調査対象校を募集するとともに、全国学校総覧から無作為抽出した学校群の児童・生徒を対象として、無記名の質問紙調査を実施する予定であったが、質的に深めた調査とすることにより、今回の変更によって得られる結果が大きく損なわれることはないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 前年度まで進めてきた少数の学校を対象とした介入研究を、平成26年度の進めつつ対象校を広げるとともに、その検証をおこなってきた。多くの学校において、これまでの成果を適用しつつ、その検証を進め標準化を図りたいと考えている。とりわけ、自尊感情の理論と実践の領域において、より実用的な調査ツールを標準化する努力を続けて最終報告に結び付けたいと考えている。 (次年度使用額が生じた理由と使用計画) (理由)任意の学校に調査対象を広げることとしたため、当該年度における支出が交通費に大きく偏ることとなったが、その成果は得られたと考えている。 (使用計画)平成26年度と同様に、調査研究と検証を進めるとともに、最終年度においては調査報告書を、学校現場で教諭が使うことができるような形式で、より実用的な形にまとめていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度の実施計画で不足した部分を、来年度において充足することとする。具体的には、小中学校での調査の実施と介入研究の計画・実施である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、旅費と交通費に充てる予定である。
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