2014 Fiscal Year Research-status Report
小学生ジュニアスポーツにおける傷害実態の解明と傷害予防プログラムの研究
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25350738
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Research Institution | Aichi Toho University |
Principal Investigator |
葛原 憲治 愛知東邦大学, 人間学部, 教授 (70225150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 真志 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (00254467)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小学生 / 早期専門化 / 傷害予防 / 傷害発生率 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、平成25年度から引き続き傷害実態データを収集するために、研究代表者の所属機関が位置する愛知県内のジュニアサッカー5チームと、共同研究者の所属機関が位置する兵庫県内のミニバスケットボール7チームから、合計12チームの傷害データを収集し、ジュニアスポーツの傷害実態を1000 Athlete-Hours (AHs)あたりの傷害発生率(Injury Rate、以下IR)で明らかにした。また、傷害に関する外的因子および内的因子について問題点を抽出するために、主な外的因子は、各チームの練習方法、リカバリー期を含む休息の取り方であり、各チームの練習状況や試合状況に関するビデオ撮影等を通して観察分析するとともに、チーム指導者から聞き取り調査を行った。内的因子に関しては、対象者個々の競技開始年齢、競技経験年数、機能的動作評価(FMS)およびPHV相対年齢の情報収集を行った。 その結果、本研究の全体の傷害発生率(IR)は、3.83/1000AHsであり、先行研究で示されている米国高校生チームとほぼ同じ値であった。特に、練習時のIR(PIR)は米国高校生より約1.6~1.7倍高値であった。通常、競技レベルが向上するのに伴って傷害発生率は高くなるため、日本の小学生チームと米国高校生より高いIRを示したことは、日本の小学生ミニバスケットボール選手の練習環境に問題がある可能性が高いことが推察された。また、ジュニアサッカー(U-12, U-11, U-10)では、練習時のIR(PIR)より試合時のIR(GIR)の傷害発生率が4.31倍高値を示した。特に、試合時には下肢傷害の発生率が有意に高く、先行研究で示されている他の年齢カテゴリーと同様の傾向を示した。また、試合時の傷害タイプは捻挫と打撲が多く、身体およびボールやグラウンドなどのその他の接触時に多発していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年10月の東海体育学会第62回大会(岐阜大学)において、「小学生ミニバスケットボール選手における傷害発生率」(葛原憲治、柴田真志)、平成25年3月の第19回日本体力医学会東海地方会学術集会(名古屋大学)において、「小学生ジュニアサッカー選手における傷害発生率」(葛原憲治、柴田真志、杉谷正次)の学会発表を2回行っており、当初の予定である研究が概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、平成25~26年度の対象チームから典型的な2~3チームについて介入を行う。傷害予防の介入プログラムは、毎回の練習や試合前のウォーミングアップの中に具体的な傷害予防対策のエクササイズを盛り込み、年間を通して各チームに実施してもらい、その効果について検討を行う。年間に通して実施される介入プログラムの実施状況および傷害データの集積状況を確認するために、対象チームを定期的に訪問し、その効果について練習時および試合時の1000AHs当たりのIRを指標に用いて検証する。その結果は、対象チームに留まらずジュニアスポーツ全体の傷害予防対策になる可能性があり、また、小学生ジュニアスポーツの育成ガイドラインを構築することでジュニアスポーツ選手が安心して競技できる環境の提供およびジュニアスポーツのさらなる発展に寄与できると考える。 これまでの研究総括として、国際学会(National Athletic Trainers’ AssociationあるいはNational Strength and Conditioning Associationなど)での学会発表や学術雑誌への投稿を通じて、ジュニアスポーツにおける傷害予防対策の研究成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
年度末の研究の出張予定が急遽変更になったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究出張として使用する予定である。
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