2013 Fiscal Year Research-status Report
中高年の骨折頻発箇所である橈骨遠位端部骨強度を高めるノルディックウォーキング
Project/Area Number |
25350739
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
加藤 尊 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (00329913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 範和 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (20176952)
山下 剛範 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助教 (10410937)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ノルディックウォーキング / 橈骨遠位部 / DXA法 / 筋横断面積 / MRI分析 / BMC / aBMD |
Research Abstract |
25年度は、「5か月間のノルディックウォーキングで若年女性の橈骨は強くなるか」を明らかにすべく実験、分析を行った。 被験者はNW群19名とコントロール群18名の計37名の若年女性であった。NW群は少なくとも1回30分、週に3回のNWを5か月間続けた。NW群は運動介入の前に、国際ノルディックウォーキング協会ナショナルコーチの資格を持つコーチによって歩き方の指導を受けた。骨強度と筋横断面積は介入前後に測定が行われた。BMCとaBMDはDXA(DCS-3000アロカ)で、橈骨遠位端部1/10,1/6,1/3の非利き腕の測定を行った。筋横断面積は島津のMagnexαIIを用いて上腕中位部にて測定を行った。 MRIにより分析した上腕中位部筋横断面積と大腿中位部筋横断面積は運動前後で有意な変化は認められなかった。また、DXA測定によるBMCとaBMCは橈骨遠位部1/3,1/6では筋同様に有意な変化は認められなかった。しかし、1/10ではBMC、aBMDで運動終了後に有意な増加が認められた。 5か月間のNWトレーニングによって橈骨遠位部1/10の骨強度は有意に増加した。ノルディックストックを進行方向と反対へ押し出す動作は、橈骨の中間部位よりも遠位端部へより大きなストレスを与えていたのかもしれない。以上のように5か月間のNWトレーニングにより橈骨骨強度が高まることが明らかとなり、その研究結果は5/28日にACSM(オーランド)にて発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨折頻発箇所である橈骨遠位部への新たなトレーニング法の開発という観点より、まず若年女性にノルディックウォーキングを課し、橈骨遠位端部の骨密度、上腕中位部横断面、大腿中位部横断面画像解析より局所的な身体組成変化を明らかにする。次年次より中高年女性を対象としたノルディックウォーキングトレーニング実験をスタートする。橈骨遠位端部に加え、大腿骨頚部のDXAによる骨密度測定、MRI画像分析による大腰筋や大腿部筋群を含む局所的な身体組成変化より、ノルディックウォーキングの運動としての骨格に対する効果を検証する、との目的を立てていた。 研究目的に対し、筋横断面積では上肢、下肢共に有意な増減は認められなかったが、橈骨遠位端部1/10にて、骨塩量、骨密度共にNW群がコントロール群に対しトレーニング期間後に有意な高値を示したこともあり、ほぼ仮説通りの結果を得ることが出来た。 研究計画、実験、分析が順調に進んだため、5月28日にアメリカのオーランドで開催されるACSMへの研究発表も行う予定でいる。
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Strategy for Future Research Activity |
MRIにより分析した上腕中位部筋横断面積と大腿中位部筋横断面積は運動前後で有意な変化は認められなかった。また、DXA測定によるBMCとaBMCは橈骨遠位部1/3,1/6では筋同様に有意な変化は認められなかった。しかし、1/10ではBMC、aBMDで運動終了後に有意な増加が認められた そこで、本年度は何故橈骨遠位端部1/10でのみ骨塩量、骨密度が増加したのかを、床反力の測定や、側面からの画像解析にて力のベクトルなどから橈骨遠位部へ加わるストレスについて解明していきたい。 また、中高齢者のコントロール群としてスイミングクラブに定期的に通っている方々の測定を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、5か月間の実験期間と骨強度を測定する際の期間としては短期間であった。このような短期間の骨代謝を測定するのであれば、骨形成マーカー、吸収マーカーからの評価の方が適切であろうこと、5か月間であるため、運動介入期間前後のDXA測定で十分であろうという結論から、超音波骨強度測定装置の購入を見送った 本年度は、若年女性の橈骨遠位端部1/10のみで骨塩量、骨密度の有意な上昇がみられたことから、なぜ遠位端部だけが、という疑問が残る。そこで、ポールによるプッシュオフ動作の解析を床反力計や2次元または3次元による動作解析などで明らかにする計画を立てている。当初の研究計画よりも、スポーツバイオメカニクス的な分野へかなり踏み込んだ状況になっており、動作解析に必要な機器であるとか、ソフト、ハード両面へ資金が必要になる。
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