2014 Fiscal Year Research-status Report
「スポーツ原体験」がスポーツに対する価値観や態度形成に及ぼす影響
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25350741
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Research Institution | Biwako-Gakuin University |
Principal Investigator |
奥田 愛子 びわこ学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70556000)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スポーツ原体験 / 原風景 / アスリート / 語り / 個性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子ども時代の印象的なスポーツ経験(スポーツ原体験)が、その後のスポーツに対する価値観や態度にどのような影響を及ぼすのかについて、ナラティブアプローチを用いて明らかにするものである。 本年度は、わが国のトップアスリートたちが著した自伝本を分析資料として、その中から彼らの原風景を読み取り、その特徴および、その後の競技スポーツとの関わりにおける意味を検討することを目的とした。 「成人してからも心の中に深く刻み込まれ、人生に影響を与え続ける幼少期の風景であり、それは現在を生きる自己との相互作用を通して心のなかに創造された風景である」(Nakagomiら、2011)という原風景の定義づけのもとに、自伝本から関連エピソードや語りを抽出し、①原風景と思われるエピソード、その時期(就学前・就学後・中学生頃)および場所、②原風景に伴った感情ならびに関わった人物、③原風景における身体活動の有無、④原風景の現時点での考え方、行為、人格等への影響、⑤現時点での原風景への意味づけならびに評価、⑥遊びや運動に限定した早期体験の「空間」特徴の6つの観点から分析した。 その結果、原風景として取り上げたエピソードの全てが小学校年代までであり、彼らの原風景の形成は極めて早期であった。また、彼らの原風景は運動要素を含み後年の競技への取り組みや、アスリートとしての特徴とイメージレベルでの重なりがみられた。さらに、その後の競技活動に対する原風景の影響についても現在の競技姿勢との意味づけをはかる傾向がみられ、それらは競技への個性的な取り組みを通した個性化(生き方)へのつながりが窺われた。さらに、遊びや運動に限定した早期体験の「空間」については、自然空間の遊びや自然物遊び、そしてスポーツが圧倒的に多く、豊富な自然遊びと同時に組織的なスポーツへの参加が早期から認められ、それらは「スポーツ原体験」ともなっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は一卵性双生児アスリートの調査面接を行うなど、次年度の研究計画に着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、アスリートの幼少期の体験や記憶が、現時点での競技活動とどのようなつながりがあるのかを明らかにするため、双生児アスリートに対して種々の角度からの調査・検討を行い、遺伝と環境の問題に迫る予定である。一方で、体育系学生とそれ以外の学生との比較・検討から、アスリートのスポーツ原体験や原風景の特徴について明らかにする。
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