2016 Fiscal Year Annual Research Report
International Comparative Study on Constitutional Provisions on Sports
Project/Area Number |
25350751
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
齋藤 健司 筑波大学, 体育系, 教授 (80265941)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | スポーツ / 憲法 / スポーツ法 / 人権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、諸外国におけるスポーツに関する憲法規定を調査し、その世界的な動向を明らかにするとともに、スポーツに関する憲法規定を、比較考察するものである。調査の結果、193の国・地域等のうち89の国・地域等で憲法にスポーツに関する規定があることが確認できた。日本においては、2011年に制定されたスポーツ基本法にスポーツ権に関する規定が定められたが、日本国憲法にはスポーツに関する規定は存在しない状況にあるのに対して、世界の約半数の国で憲法上にスポーツが規定されている国際的な動向が明らかとなった。スポーツに関する憲法規定を分類すると、基本的人権(自由、平等など含む)、社会保障、中央政府の責務・立法権、スポーツ権、スポーツの自律・自由、スポーツ振興、スポーツ政策等の管轄、中央・地方関係、権限配分、学校体育・スポーツ、教育、文化、健康、余暇、レクリエーション、障害者、スポーツの職業、スポーツの暴力防止、スポーツや競技者の保護、子どもの権利、結社・団体、科学、仲裁、知的財産、メディア、公営ギャンブルなどに関する規定に分けることができた。また、スポーツと身体活動、体育とスポーツなど、スポーツの憲法上の位置づけ、定義及び射程が分けられている場合があることが明らかとなった。 これらの諸外国における憲法規定を、日本におけるこれまでのスポーツ法学における憲法学説、スポーツ権に関する学説、その他の一般の憲法理論などを踏まえて考察した結果、スポーツそのものが新しい人権として自由権的にも社会権的にも位置づけられる論拠や、憲法におけるスポーツに関する規定を設ける可能性のあることが示唆された。 本研究の成果は、今後の日本及び世界におけるスポーツ法及びスポーツ権の体系化、制度化、さらにはスポーツ基本法その他の立法政策にとって重要な知見となるものであると考える。
|