2014 Fiscal Year Research-status Report
運動会(体育祭)による学校づくりカリキュラムの検討
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25350756
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤谷 かおる 金沢大学, 人間科学系, 教授 (60257079)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 学校運動会の評価 / サービス・クオリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に実施した「地域」「企業」の運動会を参考に、本年度は学校の運動会(体育祭)についてネットリサーチを用いて実態を明らかにした。対象者は、全国の小学校5年生と6年生169名、中学生166名、高校生160名であった。 (1)開催時期は、春期230名(46.5%)、秋期233名(47.1%)、土曜日225校(45.5%)、日曜日118校(23.8%)でほぼ週末に実施されていた。(2)地域への愛着は学校が好きな者ほど、運動会などのスポーツ行事に積極的に参加し(293名:59.2%)、地域への愛着は高い傾向が示された(どちらかと言えば好き以上で389名で78.6%)。しかしながら、地域での運動会が開催されているかを知らない者(152名:30.7%)が多く、地域のスポーツ行事等には学年が進むにつれて参加する者が少なくなっている。(3)運動会への参加価値は、「テーマに基づく団結意識の獲得(290名;29.6%)」、「生活の中のアクセント(198名;40.0%)として」、「人間関係に対する自信(171名;17.4%)の獲得」であった。(4)種目は、走競技(33.4%)、団体競技(23.4%)、団体演技(10.2%)、準備運動(4.8%)、行進(6.7%)、応援合戦(8.1%)、その他であった。リレー(ブロックや部活動)、ソーラン節、組体操、集団行動、応援合戦が盛り上がる種目として挙がっていた。(5)運動会の成果としては、「絆が深められた(M=3.24)」「仲間の良いところの発見(M=3.15)」「安全な集団行動(M=3.12)」であり、「今後の学校生活に活かそう(M=2.85)とする意識の獲得」が低い結果となった。 運動会の評価(6)については、適切に情報提供がなされ、スムーズな運営で高評価が得られていた。改善点は、「施設と駐車場の確保」、「プログラム数の増加」が望まれていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、「地域」や「企業」での運動会(体育祭)の実施形態と組織的成果を明らかにした上で、現在の学校運動会(体育祭)の企画・運営実態(研究課題3)及びソーシャルスキル形成の有効性を明らかにすることにある。さらに、「保健体育科などの教科」と「特別活動」を融合させた「運動会実践カリキュラム」の導入によって、保護者や地域等の学校外の「協働性」及び「学校づくり」の効果(研究課題4)を明らかにすることにある。 本研究は2年目であり、「学校(研究課題3)」の運動会の実態把握を目指した。インターネットリサーチを用いたことにより、短期間でアンケートの必要数をほぼ確保することができた。本研究で特色となる項目は、「①運動会の実態」、「②学校・地域への愛着度」、「③児童・生徒の評価(成果・達成度・重要度)」である。「①運動会の実態」としては、開催時期、運動会の意味、種目、役割分担を概ね把握することができた。但し、高等学校の「①運動会(体育祭)の実態」では、「スポーツ大会を体育祭とする場合」があり、従来の運動会と区別して調査する必要性があった。なお、特色のある種目については、学校種に関係なく、多岐に渡り、様々な工夫がなされていることが明らかとなった。「②学校・地域への愛着度」は、概ね把握することができた。「③児童・生徒の評価(成果・達成度・重要度)」については、イベントのサービス・クオリティ評価項目を参考に、運動会用に作成したが、児童・生徒の運動会に対する評価はいずれの項目でも高い傾向を示した。そのため、今後の戦略が「施設と駐車場の確保」というハード面とソフト面の「プログラム数の増加」のみとなった。 今年度は、インターネット調査のため「特色のある学校」事例の抽出が十分行えていないため、自由記述、学校HP等を参考に、モデル校へのアプローチに努める。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では、(1)平成26年度のアンケート調査より「特色のある学校」を抽出し、地方差の分析を行う(研究課題3の一部)。さらに、(2)運動会を学校づくりの改善カリキュラムとして導入している、小・中・高等学校の児童生徒を対象に、集団性、自主性の側面から、ソーシャルスキルを捉える尺度の開発に努める。 調査項目は、①運動会の効果(チームワークの測定を含む):チームの指向性、リーダーシップ、コミュニケーション、組織感情、共感、②ソーシャルスキルでは、集団行動、協調行動、セルフコントロール・スキル、仲間関与スキル、言語コミュニケーションスキルである。 本研究の課題は、(2)「運動会で特色のある学校」をいかに抽出できるか、(2)ソーシャルスキルの測定尺度を開発できるかにある。
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