2015 Fiscal Year Research-status Report
運動会(体育祭)による学校づくりカリキュラムの検討
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25350756
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤谷 かおる 金沢大学, 人間科学系, 教授 (60257079)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 運動会 / 学校 / 地域 / 企業 / 盛り上げ種目 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、(1)ネット調査で得られた成果を基に、(2)実際の運動会の実施計画及びプログラムの資料収集を行う。さらに、(3)運動会と「学校生活」や「ソーシャルスキル」との関連を測定するための調査票を作成し、可能であれば小学生を対象に実施する。 (1)これまでのネット調査(学校・地域・企業:929名)では、全体で「運動会が楽しくない(132名:14.2%)」理由として、「意欲(51名:38.6%)」「内容(46名:34.8%)」「まとまり感(46名:34.8%)」が挙げられた。内容では、学校での好嫌種目いずれにも「リレー」「徒競走」が挙がり、地域や企業では嫌いな種目は挙がっていない。安全面への配慮が指摘される「組体操」「騎馬戦」「棒倒し」は盛り上げ種目となっている。 学校の運動会では、「基礎体力の獲得(地域<企業・学校)」「まとまり感(地域<学校)」が評価され、「目標をもってがんばる(学校<地域・企業)」や「皆で協力(学校<企業・地域)」は低い評価となっている。また、発達段階が進むほど運動会の評価が低く、なかでも「役割分担に対する責任感」と「観客を含めた楽しさ」はその傾向が顕著である。全体分析では、「役割分担に積極的に参加した人」ほど、運動会の成果を高く評価する傾向にあり、運動会の活性化には、その関わり方(役割分担)が重要となる結果が得られた。 (2)運動会の事例として徳島県では「阿波踊り」を取り入れている学校が多く、阿呆連より指導者派遣を依頼し、地域との連携を図りながら、伝統文化の継承に努めていた。全国調査では、運動会を「ソーラン節」や「リズムダンス」など発表の場とする傾向が強い。 (3)児童生徒の「学校への適合感」や「社会的スキル」と運動会の関連性を測定することで、他者と関わり合う場面で、どのような要因に不適合感を感じるのか、社会生活を営む上での自己理解に繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度では、課題(3)で運動会と「学校生活」や「ソーシャルスキル」との関連を測定するための調査票を作成し、可能であれば小学生を対象に実施することを目指した。 しかし、児童が学校でどのような活動に不適合を感じているのか、また不適合改善のためにどのような活動が効果的かを判断するのに時間を要した。なかでも、組織の状態を測る尺度として、当初、「スクールモラール」を測定尺度を想定していたが、「学級」を対象とする研究が多く、運動会は学年を越えて縦割りで編成されることが多く、児童生徒の主観的な「学校適応感」を理論的中心とした尺度が適切と判断した。「学校適応」に関する研究では、測定に様々な指標が用いられている。その代表的な尺度が絶版となっており(樋掛・内山,2011)、石田(2009)の尺度は「学校全体」「学習関係(意欲)」「教師関係」「友人(級友)との関係」で測定され、従来の研究を踏まえて提案されている。本研究では、感情や認知を含めた子どもの行動的機能の観点から、アンケートを再検討したため、現在までの進捗状況がやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成27年度の課題(3):運動会と「(1)学校生活」や「(2)ソーシャルスキル」との関連を測定するための調査項目を再検討する。具体的には、「学校適応感(友人関係、学習関係、学校全体、教師関係)」、「イベントで求められる社会スキル(話し合いへの参加、自分の意見を発表する、あいさつができる、雰囲気を壊さないように努める)」である。 2.「小学校」「中学校」「高等学校」で生徒が主体的に取り組んでいる学校について、資料及び情報収集を行う。その際、事例の情報収集には時間を要するため、各地域の教育委員会に事前問い合わせを行い、効率よく情報収集を行う。 3.小・中・高等学校への運動会調査の実施。調査項目は、「運動・スポーツ実施状況」、「学校・地域への愛着」、「運動会参加の積極性」、「運動会の役割」、「好嫌種目、盛り上げ種目(自由記述)」、「楽しさ(楽しくない場合の理由)」、「運動会参加の成果」、「サービスクオリティ評価」である。
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Causes of Carryover |
当初、「生徒が主体的に運動会に取り組んでいる事例校」への視察を兼ねて、資料及び情報収集2校予定していたが、先方の都合により、キャンセルとなり、資料のみの郵送によって対応したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料整理のため、消耗品費(ファイル)に充てる。
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